2008年9月5日(金)「しんぶん赤旗」
東京港に軍用艦
石原都政下で増加
9年で316隻入港
民間船舶の航行を制限
自衛隊や米軍など軍用艦が一九九九年から二〇〇七年までの九年間にのべ三百十六隻が東京港に入港していたことが四日、本紙の調査などでわかりました。石原慎太郎知事のもとで、軍用艦の入港は増える傾向にあり、関係者から「東京港の軍事利用はやめてほしい」との声があがっています。(岡部裕三)
東京港管理事務所が本紙の質問に、入港記録の残っている九九年以降に入港した軍用艦船の実績を明らかにしました。
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同事務所の回答などによると、石原氏が知事に就任した九九年の入港数は、自衛艦が二十二隻、外国軍用艦が三隻でした。翌年から増加し、〇七年は自衛艦三十六隻、外国艦六隻が入港(表)。〇八年は一月―七月の七カ月間に自衛艦十七隻、外国艦四隻の計二十一隻が入港しています。
同事務所では、自衛艦は防衛省海上幕僚監部からの申請に限ってカウントしているので、実数はこれより多いこともありうるとしています。
自衛艦の入港目的は「広報活動」「体験航海」「遠洋練習航海部隊の行事」などが目立っていますが、昨年十一月二十三日には、インド洋で米軍に給油した補給艦「ときわ」の「帰国歓迎」行事(防衛省主催)を晴海ふ頭で行いました。
米軍艦船は〇三年以降、「親善」などの名目で毎年入港。外国軍用艦で入港回数が最も多いのは米第七艦隊旗艦の揚陸指揮艦「ブルーリッジ」の四回。また、石原知事が在日米軍に都防災訓練参加を要請したことから、〇六年九月に米ミサイル・フリゲート艦「ゲイリー」、〇七年八月に米ドック型揚陸艦「トーテュガ」、今年八月は米強襲揚陸艦「エセックス」が入港しました。
都は米軍用艦を防災訓練に参加させた際に、民間船舶の航行を制限し、周辺海域のしゅんせつ作業まで休止し、関係者から批判があがりました。
都の関係職員は「東京港は年間三万一千隻が入港する巨大商港。軍用艦が入港する時は民間船の利用を制限し、東京港の機能が阻害されてきた。危険な軍用艦は入港させるべきではない」と話しています。
入港断るべきだ
臨海都民連の中野幸則代表の話 国内外で核兵器廃絶、平和を望む世論が主流になっているなかで、東京港を軍事利用させることは問題だ。軍用艦の入港が増えているのは、石原都知事の政治姿勢を反映しているのではないか。いま、米空母の放射能漏れ事故や自衛艦の事故が大問題になっており、危険な軍用艦の入港は断るべきだ。引き続き監視していきたい。
入港料、3年で2400万円免除
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東京都は、東京港に入港する軍用艦船の入港料や係留施設使用料を全額免除し、二〇〇五年度から〇七年度の三年間の免除額は計二千四百万円余にのぼることが四日、臨海部開発問題を考える都民連絡会(臨海都民連)の調査でわかりました。
同連絡会は、東京都に対し軍用艦船の過去三年間の入港手続き書を情報開示請求し、百一隻分の資料を入手しました。
東京都は、七百トン未満の船には入港料や係留施設使用料を免除していますが、軍艦は大型艦も免除する特別扱いをしています。
臨海都民連の市川隆夫事務局長が試算したところ、三年間の免除額は自衛艦が千九百十万円、外国軍艦は五百七万円で、合計二千四百十七万円にのぼるとしています。