2008年9月2日(火)「しんぶん赤旗」

民間人犠牲増大

対アフガン戦術転換を

国連特別報告官 NATO軍に要求


 【ロンドン=岡崎衆史】米英軍などによるアフガニスタンの民間人殺害が重大な問題となる中、国連の特別報告官が、アフガンに展開する北大西洋条約機構(NATO)軍の現地司令官に対して、戦術の転換を求めていたことが明らかになりました。英紙オブザーバー八月三十一日付が報じました。


英紙報道

 英紙によると、国連特別報告官のフィリップ・オールストン氏は「アフガンでの(連合軍の)努力は、まさに庶民の支持が不可欠というところにまで達している」と指摘。にもかかわらず「連合軍が多くの民間人を殺害しながら、何の責任も問われていないとアフガン国民が強く認識しているため、その努力が大きく損なわれている」との見方を表明しました。

 その上で、民間人死傷者の問題への対処や透明性の確保などについて、「NATOの側に全く認識が欠けている」と強調。NATOに、多数のアフガン人を犠牲にする現在の戦術の転換を求めたといいます。

 報告官はまた、民間人犠牲の増大にNATO軍の交戦規定の変更があるとして、開示を要求。しかしNATO高官がこれを妨害していると批判しました。

 さらに、アフガン政府の関知しないところで外国の情報部隊による夜間作戦が行われ、住居襲撃などが起きていることに懸念を表明。同作戦で男性兵士が女性の寝室にも踏む込むため、アフガン人が「外国軍が女性をレイプしている」とみていると指摘しました。

 オブザーバー紙は米空軍の情報として、今年六、七月にアフガンに投下された爆弾は二百七十二トンで、これは、二〇〇六年に同国に投下された全爆弾に匹敵すると報道。また、外国軍の軍事作戦で今年死亡したアフガン民間人は五百人以上と伝えるなど、米軍などによるアフガン人の無差別な殺害が拡大していることを示唆しました。


 国連特別報告官 国連人権理事会が指定する特別の国・地域の状況やテーマに関して、事実を調査・認定するために専門知識・技能を持った人が任命され、調査、監視、助言を行い、報告書を提出します。



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