2008年9月2日(火)「しんぶん赤旗」
主張
福田首相辞任
自公政治の破たんが極まった
まさに自公政治の破たんが極まれりです。福田康夫首相が、突然辞任を表明しました。
福田首相は緊急総合対策を取りまとめるなど、政策に一区切り付けたことを理由に挙げ、新しい体制で臨時国会の審議に臨むことを辞任の理由に挙げましたが、こんな理由で納得するものは誰一人いません。文字通り自公政治の行き詰まりの結果であり、政権投げ出しであるのは明らかです。
内閣支持率急落の日に
辞意表明した当日の「日経」の世論調査で、内閣支持率が八月初めの内閣改造直後の調査から9ポイントも低下、再び三割台を割り込んだのは象徴的です。不支持率は14ポイントも上昇して、63%にも達します。国民の六割以上から不信任を突きつけられた政権が、続けられなくなるのは当然です。
それにしても、臨時国会の召集を十二日ときめ、緊急総合対策にもとづく補正予算案やインド洋での海上自衛隊によるアメリカなどの艦船への給油継続法案の提出を予定していながら、日中「防災の日」などの日程をこなした後、夜になって突然記者会見を開き、辞意表明するなどというのは尋常ではありません。
福田政権の誕生そのものが、昨年の参院選挙で惨敗した安倍晋三前首相が、選挙から二カ月後、突然政権を投げ出したことによるものでした。福田首相は安倍首相の辞任とは状況が違うと主張しましたが、突然の政権投げ出しという点では同じです。二代にわたる政権投げ出しは自民党政治と自公政権が行き詰まり、破たんの極にあることを証明しています。まさに自公政治の末期症状です。
福田内閣は昨年九月の発足からまもなく一年を迎えるはずでした。福田首相は小泉純一郎、安倍晋三の元・前の政権が進めた「構造改革」が国民の貧困と格差を耐え難いまでに拡大し、参院選挙での敗北の大きな原因ともなったのに、「構造改革」路線を転換することもそのまま続けることもできず、ただしがみつくだけという態度をとり続けてきました。
外交でも、アメリカの軍事力至上主義のやり方では通用しなくなっているのに、アフガニスタンでもイラクでもアメリカ追随の姿勢を変えようとせず、ブッシュ大統領との約束に縛られて自衛隊の派兵に固執し続けてきました。
就任以来内閣支持率の低下が続いたのも、従来の政治の枠組みを出ようとしないこうした福田首相の政治が、国民から見放されてきたためです。福田首相がついに政権を投げ出さざるを得なくなったのも、これまでの枠組みにしがみつくしかない政治が行き詰まってしまった結果です。
政治の中身の転換を
辞任にあたっての記者会見で福田首相は、繰り返し新しい布陣で政策の実現を図るとのべましたが、いま求められるのは、政治の中身を変えることです。自公政治の枠組みを続け、アメリカいいなり・大企業本位の政治を続ける限り、首相が誰になっても行き詰まった政治を立て直すことはできません。
福田首相の辞意表明を受け、与党の自公は次の首相に向けての画策を始めることになりますが、臨時国会で国政の基本問題を徹底審議したうえ国民の信を問う、衆院の解散・総選挙が当然です。