2008年9月1日(月)「しんぶん赤旗」

主張

防災の日

災害に強い街づくりを急いで


 ことしも「防災の日」が全国で取り組まれています。十万五千人を超す死者・行方不明者を出した一九二三年(大正十二年)の関東大震災にちなみ、災害への備えを怠らない決意を新たにする日です。

 台風や豪雨、地震や津波などの自然災害は、いつ発生するかわかりません。観測や予報の体制を強めるとともに、災害に強い街づくりを進め、速やかな救援や被災者支援の体制を整えることが被害を減らす要です。

いつどこで起きても

 この一年あまりを振り返っても、昨年春の能登半島沖地震から中越沖地震、ことし六月の岩手・宮城内陸地震など、規模の大きい地震が続きました。地震だけでなく、短い時間で狭い地域を襲う異常豪雨や竜巻、突風など、気象の激変による災害も相次ぎました。

 日本列島周辺が地震の活動期に入ったといわれる中で、いつどこで大きな地震が起きてもおかしくない状況になっています。季節的な前線などの活動に加え、地球温暖化による影響とみられる、大雨や突風など気象の変動も、頻発するようになっています。

 日本全国いつどこで起きるかも知れない自然災害を完全に予測することは困難ですが、事前の対策で被害を最小限にとどめることはできます。たとえば学校、住宅、病院、公共施設などを地震に耐えるようにすることです。

 学校は一日の大半をそこで過ごす子どもたちを守るためにも、大災害が起きれば避難所などとして使用する地域の住民のためにも、耐震化がもっとも急がれるものです。世論におされ、政府も対策をとるようになりましたが、公立の小中学校でも約四割は耐震性が確保されておらず、大きな地震が起きれば倒壊の危険があるところや、耐震診断そのものが行われていないところが残されています。

 住宅の耐震化も、そこに住む人たちの命を守るとともに、住宅密集地などでは避難路の確保にとって不可欠です。ところがこれも、全国で総数約四千七百万戸の住宅のうち四分の一に相当する千百五十万戸で耐震性が不足していると推定されています。

 一九九五年の阪神・淡路大震災では、とくに神戸市中心部の住宅が広範囲で倒壊、火災と合わさって大きな被害を出しました。地震が起きてもこうした被害を繰り返さないため、耐震化が急がれます。

 政府も「自然災害の『犠牲者ゼロ』を目指すための総合プラン」などを作成し、できるだけ被害を発生させないための取り組みを呼びかけています。しかし、その内容は、「共助」や「自助」が中心です。費用の面でも大きな負担になる学校や住宅の耐震化は、自治体任せ、住民任せでは前進しません。国の支援強化が不可欠です。

復興を励ます支援を

 いったん大きな災害が起きた場合、消防力の強化などで迅速な救援を行い、被災者支援の対策を採ることも、被害を最低限に抑えるうえで不可欠です。

 昨年秋、被災者の長年の運動が実って被災者生活再建支援法が改正され、住宅の全壊や大規模半壊の場合の支援金が、住宅本体の建設や購入にも使えるようになりました。世論が国の政治を動かした結果ですが、被災者が復興への意欲を持てる水準に、さらに引き上げていくことが求められます。


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