2008年8月30日(土)「しんぶん赤旗」
物価高受け入れ迫る
政府・与党が緊急総合対策
政府・与党は二十九日、「緊急総合対策」を発表しました。政府は経済対策を含めた補正予算を九月十二日召集の臨時国会に提出します。経済対策は、〇八年度補正予算と〇九年度予算を一体化する方針で、予算規模は二兆円弱となる見通しです。
減税を除く事業規模は約十一兆円とされていますが、うち信用保証制度拡充による中小企業の資金繰り支援が約八兆円です。ほかに、輸入小麦の政府売り渡し価格の引き上げ幅圧縮、高速道路料金の引き下げ、燃料負担の大きい特定業種支援の強化などを対策に盛り込みました。
ただ、政府は「新価格体系へ対応」する構造改善を業界に求めています。原油や原材料が高価格で推移することを前提に、「省エネ対策」に取り組むことを支援条件にするなど、関係者からは経営難を救う効果に疑問が出ています。また、政府の対策には、価格をつり上げている投機マネーへの有効な規制策は盛り込まれませんでした。
公明党が求めていた所得税・住民税の定額減税については、〇八年度内に単年度限りの措置として実施することを盛り込みました。同日、自民党の麻生太郎幹事長と公明党の北側一雄幹事長の会談で合意しました。減税の規模、実施方式や財源は年末の税制「抜本改革」議論で検討するとしています。年末に第二次補正予算を組んで対応する方向です。
公明党は、一九九九年から景気対策として実施されてきた所得税・住民税の定率減税の縮減・廃止を主張し、小泉自公政権は〇六、〇七年に半減、廃止を強行しました。国民負担増は総額約三・三兆円にのぼり、個人消費を冷やす一因となりました。
生活苦の根本にメスを
穀田氏
日本共産党の穀田恵二国対委員長は二十九日、政府がこの日に発表した「緊急総合対策」について記者団に問われたのにたいし、「収入減、負担増、物価高で三重苦といわれる今日の経済実態を招いた根本原因にメスを入れずに、処方せんは立てられない」と表明しました。
第一に、小泉「構造改革」路線の失敗、誤りを認めることが大事であると指摘。第二に、国民の暮らしと日本経済全体を立て直すため、経済の軸足を外需から内需、大企業奉仕から国民の家計と暮らしに移し、投機マネーにたいする実効ある規制を行うことが必要だと力説し、これらの基準、角度から政府の対策を検討していきたいと述べました。
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