2008年8月27日(水)「しんぶん赤旗」
秘書官は“金庫番”
“問題ない”ではすまない
太田農水相「事務所費」疑惑
事務所費疑惑が浮上している政治団体「太田誠一代議士を育てる会」は、自治省(現総務省)に届け出の全国団体として一九八三年に設立。九五年からは東京都選挙管理委員会に所管を移しています。
都選管によると、九五年当時の代表者は故花村仁八郎氏で、旧経団連副会長などをつとめた人物です。
花村氏は自民党の政治資金団体である国民政治協会の前身「経済再建懇談会」の事務を取り仕切り、自民党の企業献金の受け皿作りに深くかかわりました。
「育てる会」は九五年からだけでも、政治資金パーティー「モーニングセミナー」を毎年のように開催。同会の収入は、パーティーだけで三千万円をこえる年が四回ありました。
同会の事務所は九八年まで東京・渋谷区内にありましたが、二〇〇三年に港区六本木のアークヒルズにある「太田誠一事務所内」に移転を届け出。〇五年の収支報告書からは、問題となった目黒区の中里浩農水相秘書官宅を「主たる事務所」としています。
中里秘書官について、自民党国会議員のベテラン秘書は「もともと、金庫番で先生と一心同体の人物」と指摘します。太田農水相の弁明について「秘書がかかわっていて、大臣が『知らない』ではすまないと誰もが思っている」と話します。
本紙の報道で パーティー一部中止
太田誠一農水相が、九月二十九日に予定していた政治資金集めパーティー「太田誠一セミナー」を中止することが二十六日、分かりました。
本紙は二十四日付で、太田氏が内閣の自粛規範に反して資金集めパーティーを計画していると報道していました。
太田氏のホームページによると、「この度の国務大臣就任にともない大臣等規範に基づき、開催を自粛致します」としています。
ところが、九月二日、東京・帝国ホテル「光の間」での「モーニングセミナー」については、開催するとしています。
農水相秘書官宅 団体の看板なし
太田誠一農水相の政治団体「太田誠一代議士を育てる会」が事務所を置くとする秘書官宅は、東京都目黒区の住宅街にあります。秘書名の表示はありますが、団体の所在を示す看板などはありません。
近所の男性によると、三年ほど前、自宅に差出人が太田事務所の郵便物が誤配達されたことがあったといいますが、太田議員を含め住民以外が頻繁に出入りする様子は見たことがないといいます。
近くの無職女性(70)は「何十年も住んでいるが、政治家の事務所があるという話は聞いたことがない」と話しました。