2008年8月27日(水)「しんぶん赤旗」

アフガンで日本人拉致

村人らが解放交渉

NGOスタッフ


地図

 外務省に二十六日入った連絡によると、アフガニスタンで活動する非政府組織(NGO)「ペシャワール会」(事務局・福岡市)の日本人一人が同国東部で拉致されました。同会によると拉致されたのは、ボランティアワーカーの伊藤和也さん(31)=静岡県掛川市出身=。

 同会は、アフガンで医療活動や水利事業などを実施。一九八六年にアフガン難民への診療を始め、二〇〇一年には、米軍によるアフガン空爆下で、緊急食料配給を十五万人に実施しています。

 拉致された地点は、アフガン東部で、ジャララバードの北北東四十キロ程度の農村。伊藤さんは、ダラエヌール診療所近くの宿舎に住んでおり、同日午前、試験農場へ向かう途中で拉致された可能性があるといいます。

 タイにいる中村哲・同「会」代表が現地事務所と連絡を取ったところ、武装した四人組を村人らが囲み、アフガン人スタッフや有力者を交え解放するよう交渉していました。

 伊藤さんは農業の専門家で活動の中心的メンバー。〇三年十二月からアフガンで活動しているといいます。

 アフガンでは、米軍主導の多国籍軍の攻撃(二十二日)で、民間人死者が九十人に達するなど、掃討作戦が激化。日本政府は、こうした対テロ戦争に加担する、海上自衛隊によるインド洋での給油支援を〇一年以降、継続しています。福田康夫首相は、同活動を続けるため、新テロ特措法延長案の秋の臨時国会での強行を狙っています。

解放情報で混乱

 外務省幹部は同日午後八時十五分ごろ、アフガン当局から現地日本大使館に「伊藤さんが解放された」との連絡があったことを明らかにしましたが、約一時間後にアフガン側から「誤報だった」と連絡が入り、同省が訂正するなど、混乱がありました。


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