2008年8月27日(水)「しんぶん赤旗」

農水相に事務所費疑惑

実態ない秘書宅 「経費」2345万円

05―06年


 太田誠一農水相(衆院福岡3区)の政治団体「太田誠一代議士を育てる会」が二〇〇五年と〇六年に、秘書の自宅を事務所所在地として届け、二年間で計二千三百四十五万円を事務所費などの経費に計上していたことが二十六日、わかりました。活動実態のない事務所などに多額の経費を計上した一連の事務所費疑惑は、赤城徳彦元農水相が辞任に追い込まれるなど重大問題です。福田康夫首相の任命責任も問われています。


 東京都選挙管理委員会に提出された政治資金収支報告書によると、「育てる会」は〇五年に千四十五万円、〇六年に千三百万円を経常経費として計上していました。内訳は、事務所費が三百四万円(〇五年)、二百四十七万円(〇六年)。人件費が三百三十一万円(〇五年)、六百七十四万円(〇六年)。備品・消耗品費が四百九万円(〇五年)、三百七十八万円(〇六年)となっています。

 一方、「育てる会」の主たる事務所となっているのは太田農水相の当時の政策秘書で、現在、農水相秘書官を務める中里浩氏の自宅です。自宅には事務所の看板は出ていません。連絡先には議員会館の太田事務所の電話番号が記載されていました。

 太田農水相は同日の会見で「便宜的な措置として秘書宅を事務所とした。家賃は払っていないが、活動実態はあり、経費は実際に支出している。人件費は非常勤職員に対するもの」と釈明。「まったく問題ない」と強調した上で、経費の内訳を明らかにする意向を示しました。


閣僚の資格問われる

市田書記局長が会見

 日本共産党の市田忠義書記局長は二十六日、太田誠一農林水産相の事務所費疑惑について国会内で記者団に問われ、「太田農水相自身が自らの責任で事実を国民の前に明らかにすべきだ」と強く求めました。

 市田氏は、今回の疑惑をめぐる問題点として、家賃が払われておらず、事務所としての専用のスペースもなく、専任の職員も雇用されていないという三点を挙げ、「これは安倍内閣のときに相次いだ事務所費問題と同等の問題だ」「報道が事実であれば、閣僚の資格が問われる重大問題」と強調しました。

 そのうえで、太田氏自身の説明責任とともに、任命権者である福田康夫首相にたいしても、「太田氏に、きちんと事実を国民の前に明らかにするよう指導すべきだ」と指摘しました。

 市田氏は、太田氏が同日の閣議後の会見で「問題は全くない」と表明したことについて問われたのに対し、「国民はだれも納得しない」「そういう態度を取り続けるならば、閣僚失格と言わざるを得ない」と批判。九月十二日の臨時国会召集までに太田氏自身が事実を明らかにすべきであると述べるとともに、そうでないならば、国会審議を通じて追及すると表明しました。


 「事務所費」問題 家賃ゼロの衆参議員会館に資金管理団体の「主たる事務所」を置きながら、年間数千万円もの「事務所費」を計上しているという問題は、本紙が二〇〇七年一月三日付でスクープしたものです。

 このなかには、伊吹文明財務相や、松岡利勝元農水相(故人)、中川昭一元自民党政調会長など、三千万円を超す政治家もいました。

 松岡氏の場合、多額の「光熱水費」を計上していることも判明、追及を受けた末、昨年五月に自殺しました。

 後任の赤城徳彦元農水相も実家などを政治団体の事務所として届け出て、十年間に約一億円を計上していたことが発覚し、辞任に追い込まれました。


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