2008年8月25日(月)「しんぶん赤旗」

「五輪後」へ動く中国

安定成長と平和外交掲げ


 【北京=山田俊英】中国は北京オリンピックの成功に自信を深め、「五輪後」の国政運営をスタートさせました。減速しつつある経済へのテコ入れと国民の不満への対応が内政の重点です。外交では胡錦濤主席が二十五日、韓国、中央アジア歴訪に出発します。

 共産党機関紙人民日報は八月十三日付から、経済政策に関する評論員論文を一面に相次いで連載しました。ねらいは「安定かつ比較的速い経済発展の維持と物価急上昇の抑制」という新しい方針を徹底させることです。七月二十五日に開いた政治局会議で、それまでの「経済成長の過熱防止と物価上昇の防止」から軌道修正しました。

 中国経済は今年上半期の成長率が前年同期比10・4%と、昨年同期の伸び率から1・8ポイント下がり減速傾向が明らかになりました。他方、七月の消費者物価指数は前年同月比6・3%の上昇。二―四月の8%台(前年同時期比)から下がったものの、なお高い水準です。

 新方針はこうした情勢を踏まえて、過熱防止の引き締めを重点とした政策から、インフレ防止と成長促進の両にらみへの転換です。

 五輪前、五輪中に起きた地方での暴動やテロ事件は、経済発展の遅れた省や少数民族の間に格差への不満がたまっていることを改めて示しました。

 温家宝首相は今月十五―十七日、寧夏回族自治区を視察し、漢族と回族(イスラム教徒の少数民族)の団結を強調しました。七月末には党、政府機関の陳情・投書業務に関する規定を新設し、国民からの陳情を握りつぶした指導幹部への罰則を明文化しました。

 胡主席の訪韓では、北東アジアの平和体制構築に向けて李明博(イ・ミョンバク)大統領と会談します。二十八日にはタジキスタンの首都ドゥシャンベで開かれる中ロと中央アジア四カ国による上海協力機構(SCO)首脳会議に出席。メドベージェフ・ロシア大統領とも顔を合わせます。中国は、ロシアとグルジアの武力紛争に対し、双方に停戦と話し合いによる解決を呼びかけています。

 中国政府がこの秋、最大の外交と位置づけるのは十月に北京で開くアジア欧州首脳会議(ASEM)です。欧州各国首脳が多数参加する会議で、中国が掲げる「平和的発展の道」をアピールします。


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