2008年8月24日(日)「しんぶん赤旗」

児童扶養手当

父子家庭に独自支給

9自治体にみる


 政府は収入の低い母子家庭に支給している児童扶養手当を、父子家庭に支給することを拒否しています。しかし、住民の声に押され、児童扶養手当と同様の手当を父子家庭にも独自に支給している自治体が生まれています。本紙が確認できた九市区(表)の状況を見てみました。(坂井希)

 栃木県鹿沼市は二〇〇二年七月、全国で初めて“児童扶養手当の父子家庭版”といえる「児童育成手当」を創設しました。市の担当者によると、きっかけは当事者から「なぜ父子家庭には児童扶養手当がないのか」という疑問が寄せられたことでした。検討の結果、「子育てにやさしいまちづくり」の推進に資すると判断し、実施しました。今年度予算では千七百四十三万四千円を計上し、約五十人が利用しています。

生活は厳しい

 千葉県野田市では二〇〇三年四月に「父子家庭等支援手当」の支給を開始しました。市の担当者は「リストラなどで母子・父子家庭ともに生活が厳しいなか、父子家庭に児童扶養手当がないのは児童の健全育成という観点から不合理ではないかとの指摘を踏まえ、実施することにした」と話します。今年度予算で三千四百七十五万七千円を計上。六月末時点で七十四人が受給しています。

何も支援ない

 しかし、政府は「父子家庭の方が母子家庭より経済的に恵まれている」などの理由で、国の制度として、父子家庭に児童扶養手当を支給していません。このため、圧倒的多数の自治体では、経済的に困窮している父子家庭に対しても、何も支援がないのが現状です。

 全国の自治体の父子家庭支援制度をホームページで紹介している鹿児島市の会社員、堀内誠さん(34)は、小学生、保育園児の二人の子を持つシングルファーザーです。地元の日本共産党市議とも連携し、市に手当創設を求める署名活動などに取り組んできました。

 堀内さんは「現在は何とか生活できていますが、このご時世、いつどうなるか分かりません。“もし失業したら”“子どもが私立高校に行ったら”と考えると、怖くてたまりません。そういうときに利用できる手当や貸付金制度が、父子家庭にはないのはおかしい。国は『男には経済援助は必要ない』という考えを改めてほしい」と話しています。

図

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