2008年8月23日(土)「しんぶん赤旗」
チェコスロバキア事件から40年
米ミサイル防衛反対
プラハ 国民投票求め行動
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【プラハ=岡崎衆史】ソ連軍のチェコスロバキア侵攻四十周年にあたる二十一日、チェコの首都プラハで、米軍のミサイル防衛(MD)基地建設に反対するデモ行進と国会包囲行動が行われ、チェコ各地から四百人以上が集まりました。反基地団体「ノー・ベース・イニシアチブ」が主催しました。
集まった参加者は、ソ連軍の侵攻に抗議して焼身自殺した学生の名にちなむプラハ市中心部のヤン・パラフ広場から国会議事堂まで約一・五キロを行進し、議事堂を包囲。MDのレーダー基地建設を受け入れたチェコ政府と押し付けた米政府を批判し、基地建設の是非を問う国民投票の実施を求めました。
チェコ南部から四時間かけて参加したペトル・スミーシェクさん(25)=男性、建設作業員=は「MD基地は軍拡競争につながるだけ。かつての米ソの軍拡競争のような時代を二度と繰り返させないために参加しました」と述べました。
十四歳のときに、チェコスロバキア事件を経験したミハル・ビーチェズさん(54)=男性=は「かつてはソ連の戦車が侵攻して主権が侵害されました。レーダー基地建設と米軍の駐留によって、主権侵害を再び招いてはならない」と訴えました。
チェコスロバキア事件 ソ連を中心とする軍事同盟・ワルシャワ条約機構に参加する五カ国(ソ連、東ドイツ、ポーランド、ブルガリア、ハンガリー)の軍隊が一九六八年八月、チェコスロバキアを侵略し、ソ連への従属と抑圧体制から抜け出そうとする知識人と人民を中心とした民主化運動「プラハの春」を弾圧した事件。五カ国軍は、政府・党の指導部を逮捕して、全土を占領。日本共産党は侵略を厳しく糾弾し、ソ連軍などの速やかな撤退と不当な干渉の即時停止を要求しました。
世論・議会の反対根強く
米国の欧州ミサイル防衛(MD)のレーダー基地受け入れを閣議決定したチェコでは、MD反対世論が六割を占めていることが明らかになりました。世論調査会社STEMが二十日に発表しました。
七割を超えていた反対世論はロシアのグルジア進攻の事態を受け、やや減少しましたが、引き続き多数を占めています。
チェコのクラウス大統領は同日のラジオ・インタビューで、米国とポーランドのMD迎撃ミサイル基地合意について、「ミサイル防衛がロシアを狙ったものではないということをロシアに説得できていない」と懸念を表明しました。
同大統領は「ロシアとは正常で平和的な関係を築かなければならないし、私は努力する」と述べ、ロシアと関係が悪化することを望まない姿勢を明らかにしました。
チェコではMDレーダー基地設置協定に政府が調印した後も、議会で半数近くを占める野党のチェコ社会民主党とチェコ・モラビア共産党が反対。与党の一角を構成する緑の党も承認をめぐって党内が分裂しており、議会で批准されるかどうかは微妙な情勢です。
また、MDレーダー基地設置協定批准には国民投票をすべきだという請願署名が十万人以上も集まっており、すでに議会に提出されています。
与党の市民民主党は現在、支持率が30%弱で第二位に落ちています。STEMの調査は、「市民民主党の支持者と、緑の党の支持者の半分がレーダー基地設置を支持しているだけで、残りの有権者は反対している」とコメントしています。(片岡正明)
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