2008年8月21日(木)「しんぶん赤旗」
「教育のつどい」で報告へ
子どもたちが“観光大使”
表現力つけ ふるさとに誇り
北海道礼文町
子どもたちが地元の自然や歴史、名産について学び、“観光大使”になる―。そんな教育実践が北海道礼文町で行われています。二十一日から京都市で始まる「みんなで二十一世紀の未来をひらく教育のつどい―教育研究全国集会2008」の分科会で、同町立船泊中学校の飯田毅教諭(32)が実践報告します。
|
“観光大使”の取り組みは、礼文町内の小中高校で総合的な学習の時間に行っている「礼文学」の一環です。同町では小学校から高校まですべての教師が「礼文町教育研究会」をつくり、連携した教育を進めています。「礼文学」はその活動の中で生まれたもので、各学校で内容を工夫して実施。発表会を行って交流しています。
船泊中学校は生徒数約三十人の小さな学校。日本で一番北にある中学校です。一年生のときから「ふるさと礼文から学ぶ」を目的に、高山植物の観察、昆布干し、カモメの観察など自然や歴史、産業について体験を通して学んでいます。
こうした学習を通して礼文のよさを考えた上で、三年生の修学旅行で札幌に行ったときに、生徒たちが“観光大使”として半日にわたり特産品の販売実習を行い、礼文のよさを市民にPRします。
出発前に礼文町観光協会から「委嘱状」を受けました。販売するホッケの薫製や昆布などは地元漁協から提供してもらいました。
商品のパッケージのデザインや「ほっけレンジャー」「昆布ラボー」などの名前も考えました。町内のおみやげ店に行って商品の陳列の仕方を見学。ポスターも作りました。
呼び込みの練習をしてみると、生徒たちには商品についての知識がなく、きちんと接客できないことに気づきました。そこで家族に聞いたり、実際に食べてみたりして、説明の仕方を考えました。買ってくれた人には「礼文認知度アンケート」に答えてもらい、その後の“観光大使”に生かすことにしました。
販売実習の本番では、最初はたくさんの人の中で大きな声を出すことにためらいもありましたが、練習の成果を徐々に発揮。商品はほぼ完売。生徒たちは充実した表情でした。
飯田さんは「“観光大使”は生徒たちが表現力をつけるひとつのきっかけにもなりました。自分が生まれ育った町に誇りをもつことにつながったと思います」と語っています。
■関連キーワード