2008年8月21日(木)「しんぶん赤旗」

きしむ自公連立政権

距離を置く公明党の事情


 この十月に十年目を迎える自公連立政権がきしんでいます。目立つのは公明党が福田・自民党政権と距離を置く動きです。

 「矢野問題とインド洋での給油問題のダブルパンチはかなわないというのが公明党の判断だ。創価学会はとくに矢野(絢也)元委員長の国会招致問題を極度に不安がっている」

 臨時国会召集、衆院解散・総選挙をめぐって福田首相らと“対立”する公明党の思惑について、同党関係者はこういいます。「矢野問題」とは矢野元公明党委員長が創価学会と同幹部を提訴した問題です。

「困っている」

 福田首相は当初、八月下旬にも臨時国会を召集する考えでした。インド洋での米軍などへの給油を継続する新テロ特措法改定案を自公両党で再議決するためです。しかし公明党は、原油高であえいでいる国民の反発を恐れて再議決には消極的です。

 世論の動向を気にしているのは「矢野問題」も同様です。矢野氏は創価学会・公明党の根本にかかわる政教一致問題などについて発言、国会招致に応じる意向を表明しています。「創価学会はマスコミネタになるだけでも困りきっている」(公明党関係者)

 だから、臨時国会は「遅く短く」というわけです。

 公明党は、解散時期をめぐっても福田首相らとの間で溝を広げています。創価学会・公明党にとって総選挙並みの重要性を持つとされる来年夏の東京都議選。全国から創価学会員を動員するため、「年末・年明け解散」を思い描いています。

 自民党政治の「下駄の雪」と評されてきた公明党の“変身”は、選挙目当て、国民の批判をかわしたい一心からです。

 「党にとっても存亡をかけた一戦だ」。次期総選挙を前に、公明党幹部が公明新聞紙上で危機感をあらわにしています。昨年の参院選。公明党は一千万票の目標をかかげながら、得票も議席も大きく減らし「歴史的大敗」を喫しました。自民党もろとも、弱肉強食の「構造改革」を推進したことに対する国民の批判の結果です。

 創価学会員の公明党への不満が増大。自公連立見直しを含め、“生き残り”をかけた公明党の模索がつづいています。

道連れには

 そしていま国会議員から公然と民公連立政権も辞さずとの観測気球があがる事態。ポスト自公連立政権も視野に入れざるを得ない情勢です。

 公明党元国会議員はこう指摘します。

 「創価学会・公明党の発想は、池田大作創価学会名誉会長を守るためにはどうしたらいいか、だ。今後のあらゆる政局展開に対応するには、国政・都政で公明党が存在感を示すだけの勢力を維持しなければならない。自民党の道連れになるわけにはいかない事情がある」

 公明党はいま、自公連立政権の国民いじめを棚に上げ、「生活を守る党」のイメージづくりに躍起です。しかし、実質大増税をもたらしたガソリン税などの暫定税率復活、道路特定財源を今後十年間つづける特例法案など、自民党とともに再議決を強行。社会保障の連続改悪や相次ぐ海外派兵でも「政策決定のアクセル」役を任じてきました。公明党の政治姿勢が問われています。(英)


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