2008年8月21日(木)「しんぶん赤旗」
米軍特権資料
法務省、「圧力」認める
国会図書館の閲覧禁止
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日本に駐留する米兵の犯罪に関する法務省マル秘資料の閲覧が禁止された問題(本紙十一日付既報)で、法務省は二十日までに、同資料を所蔵する国立国会図書館に「閲覧制限」を申請したことを明らかにしました。これは政府が国会図書館に圧力をかけたことを公式に認めたものであり、国民の知る権利を侵害する動きとして重大です。
また、米兵犯罪の扱いをめぐり、日本側の裁判権の大部分を放棄するなど米側に有利な仕組みをつくった日米間の密約や取り決めが網羅されているマル秘資料の存在を、政府が初めて認めたという意味でも重要です。
閲覧禁止になったのは、一九七二年三月に法務省刑事局が作成した「合衆国軍隊構成員等に対する刑事裁判権関係実務資料」です。
法務省の説明によると、同省職員が国会図書館で同資料が閲覧可能になっていることに気づき、(1)外国との信頼関係に影響を及ぼす(2)捜査に支障をきたす―の二点を理由に、五月下旬に「閲覧制限」を申請しました。
国会図書館は「政府の決定と異なる判断を下す理由は見いだせなかった」として、六月下旬に閲覧禁止を決定しました。資料は同図書館が古書店で収集し、九〇年三月から閲覧可能となっていました。
資料には、米兵の犯罪に対して、第一次裁判権(日本側が優先的に裁判を行う権利)の大部分を放棄するよう指示した一九五三年の通達など、日本政府が存在を認めていない米側の特権的事項などが収録されています。
法務省は資料に収録された一連の通達の現時点での有効性について「明らかにすることは差し控える」と述べ、明確には否定しませんでした。
資料の閲覧禁止が本紙報道で明らかになって以後、各紙もいっせいに報道し、政府の対応への批判が高まっています。同省は資料の扱いについて、「今後は部分的な公開を検討する」としつつ、「マル秘資料」であることを強調し、消極的な姿勢を示しました。
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