2008年8月18日(月)「しんぶん赤旗」

主張

改造内閣2週間

増税の地ならしに警戒強めて


 福田康夫首相の内閣改造から二週間がたち、週明けから活動の本格化が見込まれています。

 さしあたりは急速な景気の悪化などに対応した経済対策づくりや、インド洋での自衛隊の給油活動を延長する法案のための臨時国会の準備が焦点になっていますが、見過ごせないのは消費税増税です。改造いらい福田内閣は、消費税増税の地ならしを図る動きを露骨にしており、いささかも警戒を緩めることはできません。

増税はもう前提のように

 福田首相は内閣改造で、消費税10%を主張してきた与謝野馨氏を経済財政担当相にすえたほか、自民党前幹事長の伊吹文明氏を財務相に横滑りさせるなど、“消費税増税シフト”ともいえる体制をとりました。

 改造後初の記者会見で福田首相は、「消費税(増税)なしで財政再建ができるとはとても考えられないし、国民が安心できるような社会保障制度も成り立たない」と、消費税増税の狙いをはっきり示しています。ただ増税をいつ実行するかについては、「しっかり議論する」「きちんとした道筋を立てていく」「国民に十分説明をしていく」などというだけで、あいまいにごまかしています。

 この点では伊吹財務相も、「二年から三年のレンジ(幅)でシナリオを示す。財源のないマニフェストは意味がない」と、消費税増税を前提にしながら時間をかけていく考えを明らかにしています。

 こうした発言から浮かび上がってくるのは、消費税増税を、「財政再建」にとっても「社会保障財源」にとっても、もはや避けられないものであるかのように取り扱いながら、実際には国民の反発が高まらないよう、地ならしを図りながら進めようという作戦です。「二歩進んで一歩退き、しかし十年たてば誰よりも進んだという手法をとる」という伊吹氏の発言にも、この狙いは露骨に示されています。

 国民にとって、消費税の増税は、決まったことでも前提でもありません。もともと低所得者ほど負担が重い消費税の増税は、大企業よりも国民に重い負担を押し付けるだけで、社会保障の財源としてはもっとも不向きです。それをこれしか方法がないようにいって増税を進めようというのは、国民をだまし、国民が望まない増税を押し付けるだけのことにすぎません。

 最近の世論調査でも、たとえ社会保障の財源であっても、消費税の増税に「反対」が六割以上を占めています(「毎日」「共同」など、七月調査)。政府がいますぐ増税を実行などといえないのもこうした国民の反対のためです。それだけに増税の地ならしを図る動きには、十分警戒が必要です。

「ムダ撲滅」も一環として

 政府・与党内から突然強まっている「ムダ撲滅」キャンペーンも、増税への地ならしの一環といわれて仕方がないものです。軍事費などのムダにはメスをいれず中央省庁や官僚だけをねらった動きに、民主党や一部マスメディアが歩調を合わせていることも重大です。

 一方、日本経団連は、改造内閣への要望のいの一番に、「消費税を含む税制抜本改革」を挙げています。消費税増税の動きは、いささかも軽く見ることはできません。

 地ならしを許さず、消費税増税自体を持ち出せないよう追い込んでいくことが、いま重要です。



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