2008年8月15日(金)「しんぶん赤旗」

主張

終戦記念日

平和の決意が生きる時代に


 戦後六十三周年の終戦記念日を迎えました。

 一九四五年八月十五日の敗戦まで十五年間にわたった日本軍国主義の侵略戦争と植民地支配は、三百十万人以上の日本国民を犠牲にしました。侵略したアジア・太平洋地域では、二千万人以上の犠牲者を含む重大な惨害をもたらしました。犠牲になった方々をいたみ、戦後の苦難に思いをはせながら、再び戦争を許さず平和を求める決意を新たにする機会です。

世界に広がる平和の流れ

 戦後の日本は、「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し」(日本国憲法前文)、世界に先駆けて戦争を放棄し、武力の行使と武力による威嚇の禁止、戦力の不保持と交戦権の否認を憲法九条に明記して、再出発しました。

 アジア・太平洋戦争を「自存・自衛」「アジア解放」の戦争などと正当化する勢力は、国民的な反省を踏みにじり、日本を再び「戦争をする国」にするための策動を繰り返してきました。しかし、国民はそのたびごとに反対の世論を広げ、基本的に退けてきました。最近では、戦後はじめて「改憲」の実行を公約に掲げて登場した安倍晋三内閣を昨年の参院選挙で敗北に追い込み、明文改憲策動を挫折させたのは、記憶に新しいことです。

 いまとりわけ注目されるのは、戦後の日本が世界に先駆けて推し進めてきた、戦争放棄と紛争の平和解決という考え方が、世界を覆って広がりつつあることです。

 「すべての国の独立、主権、平等」「相互の国内問題への不干渉」「紛争の平和的手段による解決」などの原則を掲げた東南アジア友好協力条約(TAC)加盟国は、東南アジアの域外にも大きく広がり、巨大な流れになっています。これに代表される平和の地域共同体は、南北アメリカ大陸でもアフリカでも広がっています。

 共通しているのは、地域的な紛争や懸案を戦争ではなく、粘り強い外交交渉で解決するという考えです。軍事で物事を解決しようという考え方は過去のものとなりつつあります。「人類の社会から紛争やもめ事をなくすことはできないかもしれない、しかし、人類の英知によって、紛争を戦争にしないことはできる」―日本共産党の志位和夫委員長は七月の党創立記念講演で、この確信が世界に広がっていることを強調しました。

 こうしたときに、イラクへの侵略戦争やアフガニスタンでの軍事作戦を続けているアメリカや、そのアメリカに付き従って自衛隊を海外に派兵し、派兵の恒久法づくりまで画策している日本政府の態度は、世界の大勢に反するものです。とりわけ、日本政府の策動は、戦争で犠牲になった人々の思いを踏みにじり、戦後の日本の出発点を根本から覆すもので、絶対に許すことはできません。

反戦・平和つらぬいた党

 日本共産党は戦前の日本で、侵略戦争と植民地支配に文字通り命がけでたたかい抜いた党です。戦後も再び戦争への道を繰り返すことがないよう、憲法改悪や海外派兵の策動と対決してきました。

 平和を守る党として、いま巨大な平和への激流が起こっているこの世界で、憲法の平和・民主の原則に沿って貢献する国になるよう全力をあげます。それこそが平和の決意を実現すると確信します。


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