2008年8月13日(水)「しんぶん赤旗」

社会リポート

新基地容認派に「逆風」

沖縄県議会 建設反対決議の重み

県民は“県内移設”望んでいない


 米海兵隊普天間基地(沖縄県宜野湾市)の大型ヘリの沖縄国際大学への墜落・炎上事故から十三日で四年を迎えます。沖縄県議会が先月十八日に賛成多数で可決した名護市辺野古沿岸域への「新基地建設に反対する決議」は、普天間基地の「県内移設」に固執する日米両政府に県民が「断念」を改めて迫ったものです。決議の“波紋”を追いました。(山本眞直)


 「新基地容認派にとっては大変な逆風ですよ」。県政に詳しいマスコミ関係者は同決議の影響力をこう断言しました。

 同決議は、日本共産党など野党会派が提案し賛成二十五、反対二十一で可決しました。

居直る総領事

 同決議に基づく県議会代表の要請に対し、防衛省沖縄防衛局の真部朗局長は「辺野古への基地建設が県民負担の軽減につながる」と県内移設に固執する態度です。

 在沖米国総領事館のケビン・K・メア総領事は「県外移設もあるが現実的ではない。日米両政府が合意したのだから議論する意味がない」と居直る始末。

 新基地建設を容認する仲井眞弘多県知事は「議会の決議として重く受け止める」としながらも、「議決には与党である自民党と公明党は入っていない」とくりかえし言明。全会一致ではないことをあげ、決議の重みを打ち消す意向を露骨に示しました。

 前出のマスコミ関係者が指摘します。「政府や知事とその与党など、県内移設推進派が決議を無視しようとも、『県内移設の断念』を迫った決議の逆風は強まりこそすれ、弱まることはない。県内移設の新基地は断念に追い込まれるだろう」

頭越しの合意

 それを象徴する場面がありました。県議会要請団に参加した日本共産党の前田政明県議によれば、アメリカ大使館への要請の際、グリーン安全保障政策課長がこんな本音ともとれる言葉を返してきました。「われわれはSACOの失敗を繰り返したくない」。

 SACO(日米特別行動委員会)―。一九九六年四月、日米両政府で構成し、普天間基地返還を合意。しかし「県内移設」という条件つきでした。移設場所を名護市辺野古海域と決めたものの、場所や工法は二転三転し、現在のキャンプ・シュワブ沿岸部のV字形滑走路という計画に至っています。

 県議会要請団は、アメリカ大使館でこう反論しました。「県内移設は県民の頭越しにされた合意だ。一部の基地返還を条件に、新たな米軍基地の建設を進めることを県民は容認していない。そのことが十二年間も動かなかった要因である。だからこそ県議会で決議し、県民の意思を表明したのだ」

 県議会の新基地建設に反対する決議は、アメリカ政府のこんな本音もあぶりだしました。「沖縄が日米安保を支持しないと言っても、安全保障政策は国がやること。外交権は日米両政府にある」(メア総領事)

 名護市辺野古のヘリ基地建設反対協のテント小屋に張り出された横断幕。「県議会の決議を守れ! 辺野古新基地建設反対」

 双眼鏡を手に、監視行動を続ける安次富浩ヘリ基地反対協共同代表が言います。「県議選で県民は新基地容認の自民・公明連合よりもこれに反対する野党を選択した。県議会はかつて県内移設反対を全会一致で可決している。今回の決議はその原点にもどった」



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