2008年8月11日(月)「しんぶん赤旗」

太陽光発電 独で拡大

CO2削減、経済効果

環境学会


 太陽光発電などの自然エネルギー利用がドイツや経済成長の大きいインドで拡大し、雇用や農村地域の発展に役だっている―こんな調査結果が、富山県でひらかれている日本環境学会で十日報告され、注目を集めました。研究者からは「日本政府がすすめている原発重視、石炭火力(炭素回収貯留)依存をやめ、自然エネルギー重視に転換すべきだ」という声があがりました。

 報告した立命館大学産業社会学部の竹濱朝美教授は、ドイツの再生可能エネルギー法(二〇〇〇年施行)の太陽光発電導入促進によるCO2削減効果や太陽電池産業にあたえた経済効果を調べました。二〇〇六年のドイツの太陽光発電量(二十二億二千万キロワット時)は、約百五十二万トンのCO2排出削減になります。太陽電池売上高が八年間で約二十九倍、太陽電池産業の雇用数は約十四倍になっていました。

 竹濱教授は、電力業界が自然エネルギーを固定価格で二十年間買い取ることを義務づけた制度によって、太陽光発電所の設置資金の回収がドイツでは十年前後。しかし、日本は製品寿命の二十年以内に資金の回収は不可能と報告。ドイツの同制度による家計の負担も、負担能力の範囲内と指摘しました。

 和田幸子名古屋学院大教授と元立命館大学教授の和田武・地球環境保全研究所主宰は、ドイツ、インドの自然エネルギー普及の実情を報告。「ドイツでは〇七年には風力発電もバイオマス発電も水力発電を上回り、太陽光発電も急速にのびた」と指摘。ことし二、三月に実施したインドの自然エネルギー調査結果を紹介し、「発電量が、太陽光発電以外はすべて日本を上回っている。インドの風力発電は〇七年末で世界四位。日本の約五倍、タミルナド州には一つの発電所に二千五百の風車がならぶ。独立分散型のエネルギーシステムの導入も広がって、100%再生可能エネルギーの自給村も生まれている」と報告しました。



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