2008年8月11日(月)「しんぶん赤旗」

米軍が無資格医療

イラク最大の収容所


 【カイロ=松本眞志】英国のBBC放送はこのほど、イラク南部バスラ付近にある同国最大のブッカ米軍収容所に収容されているイラク人政治囚の患者の多くが、医師の資格のない米軍「衛生兵」の管理下にあると報じました。

 「医療専門家」として一年間ブッカ収容所で勤務した匿名希望の米軍兵士が、「収容所では医療業務に適さないスタッフが活動している。データ管理はずさんであり、囚人たちのカルテはただの紙だ」と指摘。同兵士は「米軍では、四カ月間の医療訓練を受けただけ。ブッカで服役している患者の多くは私のような衛生兵がみている。しかし、医師とは違い、症状を診断する資格はない」と証言しています。

 赤十字国際委員会はイラク戦争が始まった二〇〇三年以降、定期的にブッカ収容所を訪れていますが、今回の米軍兵士の証言について、「事実とすれば看過できない」と重く受け止め、対応を検討すると表明しています。一方、収容所側は、イラク人政治囚は多国籍軍兵士と同様の医療管理を受けていると兵士の証言を否定しました。

 ブッカ収容所は現在、米軍が拘束しているイラク人政治囚二万一千人のうち、一万八千人を収容。平均拘束期間は三百三十日で、イラク侵攻以来の拘束者が八十人とされています。

 イラクは夏と冬の気温の差がはげしく、夏は五十―五十五度にまで上昇し、冬はいてつくような寒さとなります。しかしイラク人政治囚の居住環境はこれに適応できるものではなく、病人に深刻な影響を与えているとされます。



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