2008年8月11日(月)「しんぶん赤旗」
新銀行東京
中小融資割合 4割に大後退
問われる石原知事の責任
東京都が出資して設立した新銀行東京(本店・新宿区、代表執行役=津島隆一・元都局長)が経営危機のもとで、中小企業への貸し出し比率を40%へと大幅に引き下げていたことが十日までの本紙の調べで明らかになりました。
設立目的としてきた中小企業支援から業務撤退していることが明らかになり、巨額の資金投入を続ける石原慎太郎知事と、四百億円の追加出資に賛成した自民・公明両党の姿勢が改めて問われています。
新銀行東京によると、二〇〇八年三月末の中小企業への貸し出し残高は七百七十三億円で、大企業を含めた貸し出し総額(一千八百九十五億円)に占める比率は40・8%にとどまりました。〇七年三月末と比べると中小企業向け貸し出し残高は四百九十八億円(39・2%)減りました。
中小企業への貸し出し減について、同行は「ポートフォリオ(同行の無担保・無保証融資)が減ったことが主因。現在は安全で流動的な資金運用に主眼を置いている」と説明しています。
これに対し都のある幹部は、「新銀行が経営の健全化を優先した結果だと思う。(比率が)下がったことで、中小企業を支援するという設立目的とずれが生じており、ジレンマを感じる」と語ります。
新銀行東京は都が二〇〇四年度に一千億円を出資して設立しましたが、高金利で中小業者には不評でした。今年三月期決算で累積赤字が一千十六億円と破たん状態に陥り、都が四月に四百億円を追加出資し、都民から強い批判があがりました。
同行は二月に発表した再建計画で、無担保・無保証融資を事実上廃止するなど、中小企業融資から撤退する方針を打ち出しました。
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燃油高騰の対策こそ急げ
東京商工団体連合会の西村冨佐多(ふさお)会長の話 新銀行の再建計画をみると、中小企業への融資はさらに後退することになる。都は新銀行にむだ金を使うのではなく、燃油や物価高で深刻な営業困難に追い込まれている中小業者を救うために緊急施策を講じることを優先してほしい。