2008年8月10日(日)「しんぶん赤旗」

主張

原水爆禁止世界大会

核兵器廃絶への世界的運動を


 核兵器のない世界を求める声が大きく広がるなか、原水爆禁止二〇〇八年世界大会は、その世論に応える重要な成功を収めました。

 セルジオ・ドゥアルテ国連軍縮問題担当上級代表が、国連事務総長の代理として初めて大会に参加し、開会総会(広島)で発言したことは、マスコミも含めて大きな注目を集めました。「困難があっても、くじけずに前進することを誓い合おう」との訴えは、多くの参加者に感銘をあたえました。

共同行動が重要な役割

 今年の大会には、エクアドル、エジプト、キューバ、スウェーデン、ベネズエラ、マレーシア、メキシコ、リトアニア、NATO(北大西洋条約機構)加盟国のノルウェーと、これまでで最高の九カ国の政府とアラブ連盟の代表が参加しました。しかも「NGO(非政府組織)との共同の努力が大事。若い世代のために原爆展をおこなう」(マレーシア)、「大会参加は、共通の目標である核廃絶を達成する私たちの決意の表れだ」(エジプト)など、これまでにもまして市民、NGOとともに行動する意思を表明したのです。

 もはや世界は一握りの大国が思い通りにできる時代ではありません。市民運動、政府を含む世界的な共同が、さまざまな課題で重要な役割をはたしています。核兵器廃絶をめざす政府と運動との共同の前進は、こうした平和の世界秩序を築く流れにそったものであることが浮き彫りとなりました。

 いま反核運動も諸国政府も、二〇〇〇年の核不拡散条約(NPT)再検討会議で核保有国も含めて合意した「核兵器完全廃絶の約束」を実行させるために力をあわせようとしています。〇五年のNPT再検討会議では、ブッシュ米政権が核兵器廃絶を議題とすることに反対したため、世界の人々の期待に応えることができませんでした。しかしイラクやアフガニスタンでの矛盾が深まり、大量破壊兵器の拡散を武力で阻止する、などという誤りは明白となっています。

 こうしたもとで世界大会は、NPT再検討会議が開かれる二〇一〇年を、核兵器廃絶への転機とする世界的運動をよびかけました。その共通の行動として、「すみやかに核兵器禁止・廃絶条約の交渉を開始し、締結すること」を求める「核兵器のない世界を」署名を、六日から開始しました。また原爆展、被爆者の証言活動を世界でくり広げることを重視しています。

 今年もヒロシマ・ナガサキデーの行動が世界各地でとりくまれましたが、各国の平和団体からはすでに、「提起された署名にただちにとりくみたい」など積極的な声がよせられています。この行動を、環境、生活、発展、人権などにとりくむ多様な運動と連帯し、世界的なうねりにしていくことが期待されています。

世代を超えた連帯の力

 世界大会では、多くの若者が、被爆者の声に心を動かされ、運動に参加しつつあることが浮き彫りになりました。この、世代を超えた連帯の力にこそ、運動の希望と未来があります。

 世界大会は、米軍再編などの戦争への危険な動きに反対し、憲法九条を守り、非核平和のためにたたかう日本の運動に「強い連帯」を表明しており、日本の運動には、この期待に応えることが求められています。



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