2008年8月6日(水)「しんぶん赤旗」

軍事活動も規制対象に

温暖化対策 新たな課題


 地球温暖化を抑えるのは、地球上のすべての国・地域が全力を注がなければ実現できない全人類的課題であり、温室効果ガスを大量に排出する軍隊も例外ではありえません。軍事活動によるガス排出を規制の対象にするかは、一九九七年に採択された京都議定書の作成でも大きな論点の一つとなりました。

 同議定書が米軍の手足を縛る国際協定となることを恐れた米国は、軍事活動が規制対象から除外されることを外交交渉の主要獲得目標の一つとしました。

 九八年十一月にブエノスアイレスで開かれた国連気候変動枠組み条約第四回締約国会議(COP4)で米国のキンブル代表は記者会見し、前年の京都会議(COP3)で、規制対象から(1)航空機・船舶燃料(バンカー油)(2)国連憲章に沿った多国間軍事行動―が除外されるように米国防総省と協力し、達成されたと語りました。

 結局、京都議定書では第二条二項で、「航空機及び船舶用の燃料」からのガス排出の「抑制又は削減」は、国際民間航空機関(ICAO)と国際海事機関(IMO)の活動を通じて「追求する」と規定されました。「国連憲章に沿った多国間軍事行動」については特に規定はありません。

 京都議定書のもとでは、各国軍の基地や施設などから排出されるガスだけが削減対象とされています。

 しかし、京都議定書の第一約束期間が切れる二〇一三年以降の新たな対策に関する国際協定の締結が議論されるもとで、本格的な対策をとるには航空機や船舶からの排出も規制対象にすべきだとの声が、欧州連合(EU)諸国などから改めて強まっています。そうなれば、軍用機や軍艦船による排出も規制対象に含むかどうかが検討課題とならざるをえません。

 温暖化防止対策の強化による軍事活動の規制という新たな課題が、二十一世紀の人類の前に浮かび上がりつつあります。(坂口明)



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