2008年8月6日(水)「しんぶん赤旗」
CO2排出1・4億トン
イラク戦争 最貧50カ国分
温暖化の要因に
二〇〇三年三月以降の米軍主導のイラク戦争による二酸化炭素(CO2)排出量は、少なくとも一億四千百万トンに達することが、米国の非政府組織(NGO)の調査で分かりました。これは世界の最貧国五十カ国の年間排出量の総計に匹敵します。戦争が、平和を破壊するだけでなく、地球温暖化の大きな要因ともなっていることを示しています。
米国のオイル・チェンジ・インターナショナル(OCI)はこのほど、「戦争の気候―イラク戦争と地球温暖化」という報告の暫定版をまとめました。それによれば、昨年十月までの米軍主導の「イラクの自由作戦」(OIF)で四十億ガロン(百五十億リットル)以上の燃料が消費され、三千九百万トンのCO2が排出されました。
これに加え、▽これだけの燃料を精製、製造、運搬する際に出るCO2▽爆弾の爆発や油井火災で出るCO2▽戦争で破壊された建造物などの再建に使われるセメントを製造する際に出るCO2―を算出。総計で一億四千百万トンに及ぶとしています。兵隊や資材を運搬する際に排出されるCO2は含まれていません。
国連開発計画(UNDP)の『人間開発報告』〇七/〇八年版によれば、〇四年の最低開発途上国(LDC)五十カ国の排出量の合計は一億四千六百万トン。人口合計は七億七千万人です。イラク戦争によるCO2排出は、世界の最貧国の八億人近くの年間排出量に当たることになります。
OCIの報告は、これまでのイラク戦争の直接的経費を約六千億ドルと算出。これだけの資金があれば、五十メガワットの風力発電機を九千二百基以上設置し、米国の電力需要の四分の一を賄えると指摘。これにより米国のCO2排出量を六分の一(約十億トン)減らせるとしています。
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