2008年8月1日(金)「しんぶん赤旗」

主張

家計の3重苦

いまこそ暮らしに「軸足」を


 失業・雇用不安、低賃金、物価高、重税など、国民の暮らしの条件が、ますます悪化しています。

 六月の完全失業率は4・1%、実質消費支出は一年前に比べマイナス1・8%で四カ月連続前年を下回りました。

 経済政策の軸足を、「大企業から家計に移すこと」が一刻の猶予も許されない課題となっています。

暮らしに冷淡な福田内閣

 とりわけ今年に入ってから家計に重くのしかかっているのが、原油の高騰、食品の値上げです。

 六月の消費者物価指数は前年同月比1・9%増と、九カ月連続上昇となりました。日銀の「生活意識調査」(七月四日発表)では、物価上昇を92%の国民が実感しており、しかも一年前に比べて10%もの物価高を感じると答えています。

 いま重視すべきことは、(1)「ワーキングプア」(働く貧困層)の増大などに示される低収入(2)税金・保険料の負担増(3)最近の物価高―が家計に重なり、「収入減・負担増・物価高の三重苦」となって暮らしを苦しめていることです。

 この「家計の三重苦」に加えて、消えた年金による老後不安、「後期高齢者医療制度」の強行による医療不安、介護労働者不足による介護不安など、福祉削減のしわ寄せも、家計を襲っています。

 福田内閣は、国民の批判をかわすために、「消費者庁」の設立や社会保障制度の「五つの安心」構想などを打ち出しています。しかし、「家計の三重苦」の現実にはまったく冷淡で、福田内閣の経済政策は、逆の方向を向いています。

 たとえば政府が二十二日に発表した「経済財政白書」(二〇〇八年度)は、「リスクに立ち向かう日本経済」という副題をかかげ、「企業、家計は積極的なリスクテイクをしていくことが必要である」(むすび)などと強調しています。「白書」のいう“リスクテイク”とは、家計が株式などリスクの大きい証券に投資資金を提供することを指しています。政府が家計を「リスクをとる」受け皿(資金の提供者)としてしかみていないのは、大企業の経済成長を最優先させる経済政策をとり続けているからです。

 政府は「戦後最長の経済成長」を宣伝してきましたが、それは輸出頼みの「成長」であり、「繁栄」したのは一握りの輸出大企業だけでした。「三重苦」が象徴するように、内需の大半を占める家計部門は低迷がつづき、国民の暮らしは苦しくなる一方です。

 「家計に軸足を」の視点から家計を豊かにする政策をとることは、「家計の救済」というだけではなく、「内需型」に経済成長のあり方を転換するためにも日本経済にとって重要な課題となっています。

生活防衛の緊急対策も

 日本共産党の第六回中央委員会総会決定は、「日本経済の健全な発展のためには、『外需頼み』から内需主導に、そして大企業から家計・国民へ―経済政策の軸足の転換が強く求められています」と指摘しています。経済政策の転換とともに、「国民生活防衛の緊急対策が必要」とし、燃油価格を下げるための直接補てんや減税措置、福祉・医療・教育の負担軽減措置を提起しています。

 「家計の三重苦」を解決するため、経済政策の軸足を家計に移し、中・長期の改革とともに国民生活防衛の緊急対策を実現させることが、ますます重要になっています。


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