2008年7月30日(水)「しんぶん赤旗」
米財政赤字、過去最高へ
戦費に加え景気後退を反映
【ワシントン=鎌塚由美】ホワイトハウスは二十八日、年央財政見直しを発表し、二〇〇九年度(〇八年十月―〇九年九月)の財政赤字が四千八百二十億ドル(約五十一兆八千億円)になると発表しました。
これは〇四年の四千百三十億ドルを上回り、過去最高。イラク、アフガニスタン戦費での歳出増に加え景気後退での減税などを反映したもので、次期大統領に引き継がれます。
ブッシュ政権が二月に発表した予算教書では、〇九年度の財政赤字を四千七十億ドルと試算していました。今回これを大幅に上方修正しました。
サブプライムローン(低信用層向け高金利型住宅融資)問題などに端を発する景気低迷と、景気刺激のために個人減税を柱とした緊急経済対策による歳出拡大で、赤字が増加しました。
一方、二月時点で四千百億ドルとされていた〇八年度の財政赤字は、三千八百九十億ドルに下方修正されました。
ワシントン・ポスト紙(二十九日付電子版)は、ホワイトハウスが発表した〇九年度の財政赤字の“数字のごまかし”を指摘。これにはイラク、アフガニスタンでの戦費の一部の「七百億ドル」しか盛り込まれておらず、経済成長率についても、民間エコノミストが「1・7%増」としているところをホワイトハウスは「2・2%増」と予測しているとしています。そして、ホワイトハウスの数字は今後の失業率予測なども含めて「バラ色に想定している」と指摘しています。
ニューヨーク・タイムズ紙によると、上院予算委員会のコンラッド議長(民主)は、「ブッシュ大統領は、米国史上最も財政無責任の大統領として記憶されるだろう」と指摘しました。