2008年7月30日(水)「しんぶん赤旗」
中期削減目標示さず
温暖化対策 「行動計画」を閣議決定
政府は二十九日、「低炭素社会づくり行動計画」を閣議決定しました。福田康夫首相が六月に発表した地球温暖化対策の「福田ビジョン」や、首相官邸の地球温暖化懇談会が同月にまとめた提言を具体化したものです。
日本の温室効果ガス排出量の八割を占める産業界の削減の具体策には踏み込んでいません。二〇五〇年までの長期削減目標は現状比で60―80%とするものの、二〇年ごろまでの中期削減目標は「来年のしかるべき時期」まで示さないとしています。
「計画」は、発電量に占める「ゼロ・エミッション(排出量ゼロ)電源」の比率を二〇年をめどに50%以上にするとしています。その中心は、「低炭素エネルギーの中核」と規定された原発です。
現在計画中の十三基の原発の新規建設の「着実な実現」をめざし、「ゼロ・エミッション電源」中の原発の比率を「相当程度増加させる」としています。これは現行30%を40%以上にするものとみられます。再生可能エネルギーについては、太陽光発電を重視し、導入量を二〇年に十倍、三〇年に四十倍にするとしています。このためドイツなどの政策を参考にするとしていますが、ドイツで同エネルギー普及の推進力となっている、電力の固定価格買い取り制度の導入には触れていません。
■行動計画の主な内容
▽2009年度にCCS(二酸化炭素回収・貯留)技術の大規模実証実験に着手、20年までの実用化目指す
▽太陽光発電導入量を20年に10倍、30年に40倍へ。3―5年後に設置価格を現在の半額程度に
▽発電量に占める「ゼロ・エミッション電源」比率を20年をめどに50%以上に
▽家庭で使用する白熱電球を12年をめどに電球型蛍光ランプに切り替え
▽17年度までに新設予定の原子力発電所9基の建設計画を着実に実現
▽9月をめどに国内排出量取引の試行の検討を進め、10月をめどに開始
▽税制抜本改革で、環境税を含め低炭素化促進の観点から税制のグリーン化を推進
▽地球環境税のあり方について08年度末をめどに研究成果を公表
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