2008年7月30日(水)「しんぶん赤旗」
WTO議長案は日本農業に重大打撃
政府は断固拒否を
農民連の白石会長
農民連(農民運動全国連合会)の白石淳一会長は二十九日、ジュネーブで開かれているWTO(世界貿易機関)の閣僚会合で農産物輸入拡大の交渉議長案が出ていることについて「日本農業に重大な打撃となる案だ。食料自給率向上をいう政府は断固拒否せよ」とのべ、福田内閣が受け入れ姿勢を示していることを厳しく批判しました。
WTO交渉議長案は、いっそうの農産物の輸入自由化を迫るもので輸入関税について、一定水準以下に削減するとしています。
日本の場合、アメリカの圧力のもと輸入自由化を受け入れ、農産物の全体の関税は12%と低くなっています。わずかにコメ、小麦、酪農品のような、関税率が100%を超える農産物もあります。
議長案は、「重要品目」として関税100%以上の高関税で保護するものを一定残してもよいが、低い関税の輸入枠をもっと増やせと迫っています。
日本の米の場合は、ミニマム・アクセス(最低輸入機会の保証)として年間七十七万トンもの低関税輸入枠を押し付けられていますが、これを百万トン以上に増やせという提案です。
若林農水相はジュネーブ会合で提案受け入れを表明しています。
白石氏の発言は、東京都内で開かれた農民連の産直組織の「農民連ふるさとネットワーク」の総会の場で表明したもの。「議長案では途上国にも打撃を与えることになる。食料危機、食料不足はWTOでは解決につながらない」と指摘し、食の安全不安、食料危機の解決にむけた生産者、消費者、業者共同のとりくみの発展を訴えました。
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