2008年7月25日(金)「しんぶん赤旗」
実質的協力を促進
ARF閣僚会議 平和構築で合意
【シンガポール=井上歩】アジア・太平洋地域の安全保障問題を話し合う東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)閣僚会議が二十四日、当地で開かれました。会議は「シンガポール宣言」と議長声明を採択。ARFを「対話の場」だけにとどめず、軍縮、災害対策などの具体的分野で「実質的な協力を進める枠組み」に移していくことで合意しました。
会議にはASEAN諸国と日米中、北朝鮮など二十六カ国と欧州連合の外相らが出席。シンガポール宣言は、二〇〇五年から進めている「信頼醸成の段階から予防外交の段階への発展」を促進すると表明し、ARFの機能強化、集団安全保障に向けた協力促進を強調しました。今後、▽災害救援▽テロ・国際犯罪対策▽海上の安全(海賊対策)▽核不拡散・軍縮をテーマとして、経験交流を進めていく方針です。
マラッカ海峡で海賊被害が問題になっている海上の安全については分科会を立ち上げ、インドネシアと日本、ニュージーランドが共同議長を務めることが決まりました。
会議ではミャンマーのサイクロン被害、四川大地震などの大規模災害が相次いだことを受け、災害救援について意見交換。作業計画づくりや実働訓練など、ARFの取り組み強化のため提案が出されました。北朝鮮、ミャンマー、タイ・カンボジア緊張問題などの地域情勢のほか、食料、原油高騰についても意見を交換しました。
ARF ASEAN地域フォーラムの略称。東南アジア諸国連合(ASEAN)が域外国を招く形で始まった多国間の政治・安保の対話フォーラム。一九九四年、バンコクで第一回会合。自由な意見交換の重視とコンセンサスの原則で、信頼醸成、予防外交、紛争解決という三段階の目的達成のために前進しています。ASEAN十カ国を含む二十六カ国・一機構(欧州連合)が参加。