2008年7月24日(木)「しんぶん赤旗」

公益法人から右派・改憲団体へカネ

団体幹部は同一人物


 改憲目的の議員同盟に資金を貸し付けたり、「調査研究委託金」として改憲団体に支払っている政治団体があることがわかりました。「時代を刷新する会」(会長・塩川正十郎元財務相、会員約百三十人)です。


 同会は、「国家・国民のためになることには、何事も積極的に、時代を先取りして取り組む」との趣旨のもと、一九八一年にA級戦犯容疑者の故・岸信介元首相が設立した右翼的な団体。政府に対し、教育基本法改悪などを要請してきました。今は、自衛隊の海外派兵を常時可能にする派兵恒久法の制定などの要請活動を展開しています。

 同会は会場費のかからない衆参の議員会館会議室を使って会費四千円の会合を毎月開いています。最近では―。

大地震直後に

 ――五月十五日、参院議員会館会議室で月例会。中国が四川大地震(五月十二日)の発生直後だったにもかかわらず、「崩壊する中国、逃げ遅れる日本!」と題して評論家が講演。会費四千円。

 ――同十九日、衆院第一議員会館会議室で同会安全保障部会。議題は、元公安調査庁調査二部長による「国際情報機関設置の必要性とその組織・活動内容について」の解説と、日米安全保障条約の位置づけ、強化について。会費千円。

 同会の政治資金収支報告書(二〇〇六年)によると、改憲・右翼団体との密接な関係が浮かび上がってきます。

 「時代を刷新する会」の収入総額は千六百五十万円。月例会の会合収入として二百四十九万九千五百二十円を得ています。

 同会の会合や要請活動とうり二つのとりくみをしているのが総務省所管の公益法人「財団法人協和協会」で、両団体の専務理事兼事務局長は、改憲団体の自主憲法制定国民会議(新しい憲法をつくる国民会議)会長代行の清原淳平氏が務めています。

 「時代を刷新する会」は、「協和協会」から「研究委託金収入」として一千万円を得ています。自主憲法期成議員同盟(現在の新憲法制定議員同盟=会長・中曽根康弘元首相)に二百十万円の貸し付けを行っているほか、「憲法問題調査研究委託金」として自主憲法制定国民会議(堀渉理事長)に二百五十万円、自主憲法期成議員同盟に五十万円を支払っています。

 同会に資金を提供している「協和協会」は、一九七四年に設立され、初代会長は岸元首相、二代目は福田赳夫元首相、三代目は桜内義雄元衆院議長、四代目が塩川氏です。

「満州」に源流

 「協和協会」の「協和」という名称は、戦前の日本のかいらい国家「満州国」に源流があります。岸元首相が「満州国総務庁次長」として暗躍した「満州国」では、「五族協和」「王道楽土」をうたい、旧満州に駐留していた当時の日本陸軍部隊・関東軍がつくった民衆統制組織「協和会」が「国民」を戦争へと駆り立ててゆきました。

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