2008年7月24日(木)「しんぶん赤旗」
後期医療「保険料軽減策」の矛盾
同収入世帯で13倍差の例も
大阪・北山議員指摘
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政府与党が出してきた後期高齢者医療制度の低所得者への保険料軽減改定で、同一収入世帯なのに保険料負担の格差が現行六倍から改定後十三倍へ拡大する事例があることが分かりました。大阪府後期高齢者医療広域連合議会七月臨時会(十四日)で、日本共産党の北山良三議員(大阪市議)が明らかにしました。また、収入が低い世帯の方が保険料負担が重くなる逆転現象も起き、矛盾が深まっています。(浜島のぞみ)
なぜこんなことが起きるのか。「そもそも、後期高齢者医療制度が個人で加入させられる保険であるのに、軽減制度は世帯所得で算定されるためです」と北山議員は説明します。
世帯ごと算定
政府与党が打ち出した今年度における「当面の対策」は(1)均等割保険料七割軽減世帯は八・五割軽減に(2)年金収入百五十三万円から二百十一万円までの所得割保険料は五割軽減に、というものです。
保険料には所得割と均等割があります。年金収入が百五十三万円までの人は年金控除百二十万円と基礎控除三十三万円を差し引くと所得ゼロとなるため、所得割額がかかりません。
被保険者が一律に課せられる均等割にも、二割、五割、七割の軽減がありますが、同一世帯の世帯主と被保険者の合計所得が基準になります。その結果、同一世帯の誰かが年金収入百六十八万円を超えれば全被保険者が均等割七割軽減の対象から外されます。
したがって、別表の大阪在住でいずれも夫婦とも七十五歳以上の世帯で比較した場合、Aさん世帯とBさん世帯では収入は同じなのに保険料の差は現行制度で六・六倍も生じます。
制度廃止こそ
改定後、Aさん世帯、Bさん世帯の保険料格差は十三・六倍にも拡大します。Cさん世帯は夫のみ年金収入が二百六十万円で妻は無年金ですが、保険料はAさん世帯と同じです。
CさんはBさんより年収が少ないにもかかわらず、保険料をBさんよりはるかに多く払わなければなりません。改定後、この格差はさらに拡大します。
広域連合議会で、北山議員は保険料軽減の条例改正に賛成したうえで、今回の軽減措置では不十分であり、さらなる見直しを国に求めるべきだとただしました。
吉道勇・大阪府後期高齢者医療広域連合長は「お示しのとおり、格差が生じているのも事実」と認めましたが、「(国で)見直しの論議がなされていると聞いている」と述べるにとどまりました。
さらに北山議員は「今回、政府与党が示した見直し改定の措置では、制度の持つ根本的矛盾は解決しない」と述べ、この制度そのものの廃止を求めるべきだと強く主張しました。
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