2008年7月24日(木)「しんぶん赤旗」
大型開発と同和継続
共産党反対 大阪府の予算成立
大阪府の七月臨時議会は二十三日、府民犠牲、無駄な大型開発と同和継続の今年度本格予算案を、自民、民主、公明などの賛成多数で可決し、成立しました。日本共産党は反対しました。
橋下徹知事は、福祉医療費助成制度の改悪や私学助成の大幅削減、府立の文化施設の廃止など、財政再建の名で府民施策を軒並み切り捨てる一方、安威川ダムやニュータウン開発(「箕面森町」)などの無駄な大型開発は継続する「大阪維新プログラム案」を発表し、今年度予算案はその具体化の初年度にあたります。
千百億円の「収支改善」を行うとし、私学助成の経常費助成5―25%削減と、一般職の基本給4―12%引き下げなどの人件費の削減を盛り込みました。
橋下「行革」の撤回・見直しを求める三百万人以上の署名などの運動と世論の高まりで、これらについては自民、民主、公明も見直しを要望。橋下知事は、私立幼稚園への経常費助成の削減を5%から2・5%に縮小し、一般職の基本給削減率を一律0・5%縮減するなど、合計わずか十八億円手直しの修正案を二十二日に提案しました。
二十三日の閉会本会議で日本共産党の芹生幸一議員は「財政が厳しいなかでも府民の暮らしを支援することが府政の目的であり、財政再建の目的も福祉や教育を充実するためのものであるはずだ」と強調。「維新案」は行政の理念や役割を投げ捨て、暮らしにあえぐ府民に追い打ちをかける一方、府の財政を悪化させた最大の要因の無駄な大型開発は継続・推進し、縮小されたといえ同和事業も継続しているとのべ、撤回や見直しを求める府民の声に真摯(しんし)に応えるよう求めました。
自民党は、橋下「行革」と修正案を「高く評価する」、民主党は、「熟慮に熟慮を重ねて修正案に賛成する」と述べました。
府民犠牲 目白押し
「出血を止めただけ。次の一手はこれから」。二十三日、予算案の可決後、橋下知事は記者会見でこう語りました。
「維新案」は今年度から三年間のもので、来年度以降、廃止や削減とされる府民施策・事業が目白押しです。障害者・高齢者・一人親・乳幼児の各医療費助成の自己負担増、障害者の生活をささえる様々な施策の廃止・削減、私立高校の授業料軽減助成削減のほか、国際児童文学館や上方演芸資料館、大阪センチュリー交響楽団、男女共同参画推進財団、府立学校の教務事務補助員の存続問題なども今後の九月議会、来年二月議会が焦点になります。
知事はまた会見で、市町村への交付金制度などを検討する地域主権推進本部を庁内にたちあげることを明らかにしました。「維新案」は「大阪府の発展的解消が将来目標」とし、関西州の実現をかかげています。「次の一手」は府民にいっそう犠牲を強い、大型開発など財界向けの施策を本格的にすすめる関西州実現への一歩を踏み出すものです。
臨時府議会では、財政危機の要因の無駄な大型開発と同和事業をきっぱりやめよと迫ったのは日本共産党だけでした。今後、「維新案」をめぐる各党の立場が一層問われます。(大阪府・小浜明代)