2008年7月23日(水)「しんぶん赤旗」
正義と道理に立つものは未来に生きる
日本共産党創立86周年記念講演会
志位委員長が講演
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日本共産党は二十二日、東京・日比谷公会堂で党創立八十六周年記念講演会を開き、志位和夫委員長が「正義と道理に立つものは未来に生きる」と題して講演しました。「今、共産党が注目されている。貧困と格差をどう打開するのか聞きたい」などの思いを胸にロビーにまであふれる二千を超える人々が参加。笑いあり、涙ありの話に、会場は一体感に包まれました。CS通信で全国に中継されました。講演会では、党員首長で、この間再選された東京都狛江市の矢野裕市長と兵庫県福崎町の嶋田正義町長、昨年初当選した長野県南牧村の菊池幸彦村長の三氏があいさつしました。
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「私たちの現在は、多くの先輩たちの『苦闘と開拓』に支えられている」―。記念講演をこう切り出した志位氏は、党員作家、小林多喜二の『蟹工船』がブームとなっていることを糸口に、戦前からの日本共産党の平和と国民主権の主張が戦後の憲法のなかに刻まれたことや、多喜二の文学がいまの若者たちを温かく励ましてやまない生命力を発揮していることを指摘。「これらは、正義と道理に立つものは未来に生きることを示している。今の私たちのたたかいも、未来に生きる歴史をつくるたたかいとなるよう力をつくそう」と訴え、拍手に包まれました。
その上で国民の利益、世界の前途がかかった「決定的な場面」で、日本共産党が勇気をもって掲げた旗が「初めは孤立しているように見えても歴史を切り開いてきた」ことを、雇用、後期高齢者医療制度、農業と食料などで明らかにしました。
この中で、「貧困と暮らし」の問題では、派遣労働の非人間的実態を自らの視察も踏まえて告発。派遣労働を原則自由化した「決定的な場面」=派遣法大改悪(一九九九年)で日本共産党だけが反対を貫いたことをあげ、国民とともに実態を告発し、是正を求め続ける中で、政治を動かし、巨大企業を動かすところまできたと強調しました。
後期高齢者医療制度では、制度の原型になる考えを示した二〇〇〇年の健康保険法改悪の際の付帯決議、農業と食料の問題では、コメ輸入の関税化などを盛り込んだWTO(世界貿易機関)農業協定の受け入れというそれぞれの「決定的な場面」で、反対を貫いた日本共産党の役割を解明。そのたびごとに盛んな拍手が起きました。
「アメリカいいなり政治」の問題で、志位氏は「今日は、九一年のソ連崩壊以降の十数年の歴史の文脈の中で考えてみたい」と切り出しました。
当時はブッシュ大統領(父)が「(アメリカは)西側の指導者から、世界の指導者になった」と演説。一方、日本共産党は、ソ連の崩壊を「歴史的巨悪の党の終焉(しゅうえん)」として「歓迎」するとともに、アメリカの一国覇権主義の危険を軽視せず正面から立ち向かうという立場を貫きました。
他の党には「唯一の超大国」アメリカに従っていけば、日本の針路は安泰だという風潮が広がり、当時の社会党まで日米安保「強化」に踏み込み、「日米軍事同盟万歳」「海外派兵万歳」の翼賛体制にいたった経過を紹介しました。
志位氏は、いまではイラク戦争などを通じて、アメリカが「軍事力で世界を制覇する野望が挫折したことは明らかだ」と指摘。ソ連崩壊は「世界中の国々が元気になり、自由に発展する道を保障するものとなった」と強調しました。ここでも、ソ連崩壊という「決定的な場面」で未来を見通していたのはブッシュ大統領ではなく日本共産党だったと力説。会場は拍手で盛りあがりました。
ソ連崩壊のさいに、もう一つ盛んだったのが、「資本主義万歳、社会主義崩壊」論だったと述べた志位氏は、いまでは「資本主義は限界か」という議論が日本でも始まり、その答えを日本共産党に求めてくる「新しい状況がある」と指摘。貧困と飢餓、投機マネーの暴走、地球環境問題という三つの大問題をあげ、「資本主義がこの問題にどこまで答えることができるかは今後の大問題だ。いまはっきりいえることは、十七年前の『資本主義万歳』論には根拠も道理もなかった。この問題で歴史は日本共産党に軍配をあげた。そして、いま起こっている変化は、社会と経済の枠組みを根本から問う新しい時代が始まったことを予感させる」と述べました。
「これらの地球的課題の解決でも綱領はしっかりした回答を示している」と述べた志位氏は、投機マネー規制や環境問題で日本が積極的役割を果たす上でも「ルールある経済社会」づくりが避けて通れないことを解明。
さらに「地球的課題を解決するうえでも、資本主義を乗り越えて新しい社会を目指す流れが成長し、発展することが必然となってくるだろう」との展望を示しました。
志位氏は、日本共産党がどの問題でも、国民の利益に立って行動してきた根本には、「大企業中心」「アメリカいいなり」という二つの政治悪をただす綱領の立場があることを指摘。今度の総選挙で「日本共産党を伸ばしてこそ政治の中身の変革の道が開ける」と訴えました。
最後に、故・宮本顕治元議長が多喜二の生き方について述べた言葉にもふれながら、「不正義に立ち向かう不屈の党、温かい人間関係で結ばれた党、日本共産党に入党し、かけがえのない人生を私たちとともに歩まれることを心から訴えたい。社会的連帯の力で新しい政治をつくろう」と訴え、拍手と歓声に包まれました。
日本共産党創立86周年記念講演 骨子
正義と道理に立つものは未来に生きる
幹部会委員長 志位 和夫
はじめに――私たちの現在は、多くの先達の「苦闘と開拓」に支えられている
貧困と暮らし――「決定的な場面」で党が掲げた旗が、多くの国民の声に
・全国の草の根のたたかいがつくった胸躍る情勢の進展
・派遣労働とキヤノン調査――1999年の法改悪に反対をつらぬいた決定的意義
・高齢者への差別医療――2000年の「付帯決議」に反対し一貫してたたかう<
・「農業再生プラン」――WTO農業協定に反対をつらぬいた党ならではの提案
・財界・アメリカによる国民生活破壊とたたかう綱領路線の生命力
アメリカいいなり政治――勇気をもって掲げた一国覇権主義反対が世界の流れに
・ソ連崩壊直後――ブッシュ(父)大統領演説と、日本共産党の立場
・わが党以外の日本の政界は、アメリカ覇権主義にのみ込まれてしまった
・軍事的覇権主義は破たんし、巨大な平和の激流がおこっている
・覇権主義を許さない綱領路線の生命力と、新しい綱領での世界論の発展
「資本主義の限界」が問われる時代――未来社会の理想を高く掲げて
・「資本主義万歳」論から「資本主義の限界」論へ――大きく状況は変わる
・貧困と飢餓――五秒に一人の割合で飢えによって子どもの命が奪われている
・投機マネーの暴走――人類の生存が土台からたたき壊されつつある
・地球環境問題――史上最大の「市場の失敗」とエンゲルスの警告
・綱領は、地球的課題の解決でも、しっかりした回答をしめしている