2008年7月19日(土)「しんぶん赤旗」
ガザ停戦1カ月
生活・平和 改善の実感まだ
“食料不足続く”と住民
【カイロ=松本眞志】パレスチナ自治区ガザ地区でイスラム武装抵抗組織ハマスとイスラエルが停戦してから十九日で一カ月が経過しました。停戦と経済封鎖解除による経済と平和回復への期待が強まっていますが、今なお住民生活改善を実感させるには至っておらず、イスラエルの対応に注目が集まっています。
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ハマスは合意順守の意向
物資移送量を停戦前の三割増加させるとの合意にもかかわらず、イスラエル当局はスーファ検問所での封鎖解除前のトラック台数(一日七十五車両―ガザ住民必要量の7%)を低く見積もり、トラック台数を増やしませんでした。
本紙の電話取材に、ガザ地区のアラファトさん(39)=男性=は、「停戦後大きな変化はない。医薬品七十種類は現在でも不足している」と答え、モナさん(23)=女性=は「電気は使用できるようになったけれど、食料不足は続いている」と語りました。
住民からの批判が高まるなか、イスラエル当局は九日、スーファ検問所のトラック通過台数を一日百台に増やすと宣言。十七日には燃料ガスの量を一日七万五千リットルから十二万リットル、ガソリンを同八十万リットルから百二十万リットルに増やすと発表しました。
平和回復の問題では、イスラエル軍による露骨な停戦違反はなくなりましたが、不安定な状況は依然として続いています。七月十日のガザ地区とイスラエルの境界でのイスラエル軍による武装グループ・メンバー殺害事件は、ガザ地区内からのロケット砲攻撃、イスラエル当局による検問所の一時封鎖など相互の応酬へと導きました。
一方、停戦をめぐる最近の状況を評価する指摘もあります。イスラエルは米国とともに、ハマスを「テロリスト」「敵性存在」と呼び、孤立させて包囲せん滅する方針をとってきました。停戦自体が困難とされるなか、アラブ連盟とエジプトによる仲介の努力で停戦が実現。米・イスラエルの路線は完全に破たんしました。
ハマス側が停戦に真剣な姿勢をとっていることも重要です。ガザ地区内でロケット砲攻撃を行ったグループのメンバーを拘束し、パレスチナの各派に停戦順守を呼びかけたことはそれを示すものでした。