2008年7月19日(土)「しんぶん赤旗」
主張
沖縄新基地反対決議
県民意思に従った当然の要求
沖縄県議会は十八日、米軍新基地建設計画の断念を求め、首相、外相、防衛相らにあてた意見書と駐日米国大使や沖縄県知事にあてた決議を賛成二十五、反対二十一の多数で可決しました。県議会が日米両政府の新基地建設計画に反対を表明したのは初めてです。
六月の県議選で、日本共産党が五議席に躍進するなど県議会内の勢力が逆転し、野党が過半数を占めたことからこの画期的な決議が実現しました。県民の七割が反対しているのに、決定だといって新基地建設計画を押し付けようとしている政府・防衛省に痛打となるのは確かです。
痛みは増すばかり
日米両政府は、沖縄県名護市にある米軍基地内に新基地を建設する計画です。新基地は先制攻撃戦争に備える米軍事態勢の再編・強化の目玉です。
新基地が航空機の爆音、墜落、米軍犯罪、環境汚染で県民を苦しめることは、政府の説明でもあきらかです。例えば爆音です。初めは「周辺の上空を飛ばない」という説明でした。しかし、いまでは、緊急時のほか、米軍の「訓練の形によっては飛行することもあり得る」(石破茂防衛相 昨年十二月十二日の政府・地元の協議会で)と開き直っています。米軍再編が沖縄県民の「痛みを軽減するため」という説明は大うそです。
新基地建設は大浦湾の埋め立てを伴います。ぼう大な量の土砂投入が海を汚し、漁業資源を奪います。ジュゴンのえさとなる藻場に重大な影響を与えることにもなります。「生活と環境に配慮する」という政府説明を真に受けることはできません。
県議会の決議がいうように県民は、「基地の過重な負担と固定化につながることから一貫して反対」してきました。建設予定地の名護市民が一九九七年十二月の市民投票で反対の意思を明確にしたのをはじめ、どの世論調査でも県民の反対は七割におよんでいます。県民の反対を無視し、振興予算をちらつかせるなど卑劣なやり方で建設に向けた動きを強めている政府に非があるのは明白です。
県民が県議会勢力を逆転させたのは、高齢者医療制度への怒りとともに、政府の横暴を許さず新基地建設を断念させたいという一念からです。県議会として「新基地建設を早急に断念されるよう強く要請」したのは、県民の意思に忠実に従った正当な要求です。県民の歓迎は当然です。
政府・防衛省はこれ以上、県民と県議会の意思を無視することは許されません。議会が可決した意見書を尊重し、ただちに新基地建設計画の推進を断念すべきです。
仲井真弘多知事の態度も問われます。予定地を少し沖合に移せば新基地を認めるという態度は、県議会の決議に反します。目線を日米両政府にではなく、県民に向けることが重要です。
基地の撤去に向けて
沖縄の米軍基地は、県土面積の10%を超えています。新基地建設を認めることはこの異常を恒久化することを意味します。基地あるが故の苦しみを、さらに県民に押しつけていいはずはありません。
基地なくせの声は県民共通の願いです。宜野湾市民を苦しめている普天間基地を無条件に閉鎖・撤去し、米軍基地の縮小・撤去をせまることが重要です。
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