2008年7月15日(火)「しんぶん赤旗」

米、クラスター弾 新方針

不発弾1%超なら使わず

全面禁止には背向ける


 米国防総省は九日、二〇一八年以降、米軍は不発の子爆弾が1%以上残るクラスター爆弾は使用しないとの新方針を公表しました。五月にアイルランドのダブリンで開かれた国際会議で採択された使用禁止条約に米国が参加せず、国際的に批判されていることへの対応とみられます。しかし同爆弾の「有用性」は否定せず、全面禁止には背を向けたままです。

 クラスター爆弾は、爆発時に多数の子爆弾をばらまいて広範囲の兵士を殺傷するだけでなく、一定量が不発弾となって残ることで、長期間にわたって非戦闘員も犠牲にするという残虐兵器です。

 同省が公表したのは六月十九日付のゲーツ国防長官のメモ。メモは「クラスター爆弾は明確な軍事上の有用性のある合法的な兵器だ」とも強調。一八年までは現存のクラスター爆弾の使用を容認しています。また必要量以上の爆弾は来年六月までに廃棄するとしています。

 米国はクラスター爆弾の主要な製造・使用国です。五月の国際会議には参加せず、会議中にマル国務次官補代理が「クラスター爆弾禁止は不可能」と表明するなど国際世論に背を向けてきました。

 米メディアは、新方針公表を「国際的な圧力に直面しクラスター爆弾に関する政策を変えようとしている」(ワシントン・ポスト=電子版)と報道。十日付の米紙ロサンゼルス・タイムズは「十年もかかるのは不十分だ」という非政府組織(NGO)関係者の批判を紹介。九日付の米紙シアトル・ポスト・インテリジェンサー(電子版)は社説で「残虐性を和らげることで、永久に使い続けられるようにしようとするものだ」と指摘しています。(山崎伸治)


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