2008年7月15日(火)「しんぶん赤旗」
“よみがえれ有明海”
訴訟口頭弁論 漁業者が現状訴え
長崎地裁
諫早湾内やその周辺で漁業を営む長崎県や佐賀県の漁民らが国に対し諫早干拓事業の潮受け堤防南北排水門の開門や損害賠償を求めている訴訟の第一回口頭弁論が十四日、長崎地裁で開かれました。原告漁業者が現状を訴えたほか、原告側弁護人らが因果関係について漁業被害補償など行っており争点とならず、開門について審理を進めることを主張。すでに提出していた上申書((1)和解の勧告を(2)開門方法に関する協議)について協議しました。
原告漁業者の松永秀則原告団長は、干拓事業開始の際、国の「漁業はできる」という言葉を信じて干拓事業に協力してきたが、潮受け堤防閉め切り後まったく漁ができなくなったといいます。「私たちは国にだまされた」としました。電気、ガス、水道代も満足に払えず、借金を障害のある兄にたて替えてもらっていることなど窮状を訴えました。
馬奈木昭雄弁護団長は、「国は本事業による被害発生を認めたからこそ漁業補償を行ったのではないか。そうでないなら何のために行ったか明らかにしなければいけない。一度認めた因果関係を争うのは、禁反言の原則に違反し国の信義が問われる」と主張。訴訟のなかで開門について方法を具体的に検討することを求めました。
上申書について、国は、「現段階で和解協議は必要ない」としました。開門の協議については、検討するとしました。
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