2008年7月12日(土)「しんぶん赤旗」
「宝の海再生を議論」
有明訴訟 原告、決意の控訴
長崎県諫早湾干拓事業(国営)の潮受け堤防排水門の撤去と開門を求める「よみがえれ! 有明訴訟」で、佐賀地裁の判決に対して原告団五十一人は十一日、福岡高裁に控訴しました。同日、同訴訟の原告団は佐賀市内で会見しました。
馬奈木昭雄団長は、国が控訴したことに「漁民の声を聞かないこと。国の言い分は崩れている」ときびしく批判。「一審で勝訴した同湾近くの漁民でなく、被害が認められなかった漁民が原告になった。有明海全域の再生を議論したい」と話しました。
馬奈木団長は、干拓事業と漁業被害との因果関係については、「国と議論することはない。決着はついている」と強調し、地裁判決で中長期開門調査をしない国を「立証妨害」で「信義則に反する」と断罪したことを指摘しました。
国が控訴し「裁判の場ができたことで、ただちに具体的な開門のやり方を議論したい」とのべました。
国が控訴理由に環境アセスメント実施をあげたことについて、馬奈木団長は「アセスで何をするのか。アセスで国の結論は出ない。リップサービスだ」と非難しました。
「開門あきらめない」
漁民ら 農水省前で唱和
「農水省はいますぐ控訴を取り下げろ」「開門するまでたたかう」。長崎県諫早干拓事業の潮受け堤防の開門を求めて、東京・霞が関の農水省前で座り込む有明海沿岸四県の漁民らは十一日、開門を拒否し佐賀地裁判決を控訴した若林正俊農水相と農水省に怒りの唱和を響かせました。
ノリ養殖業者、川崎賢朗さん(佐賀有明の会会長)は「開門を期待していた。しかし、レベルの低い大臣の談話にほんとにがっかりした。腹立たしくてしかたない。大臣! 私たちは勝つまでたたかう。あなたに謝罪させます」と語りました。
長崎県島原市でエビなどの漁業者、吉田訓啓さん(有明海漁民・市民ネットワーク長崎漁民世話人)も「環境アセスのごまかしは絶対許さない。ふざけるな。開門できないといって控訴して、なにが環境アセスだ」と怒りをぶつけます。
漁民らを激励した日本共産党の仁比聡平参院議員と赤嶺政賢衆院議員は、「世論と運動ですみやかな開門調査の政治決断を」と訴えました。
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