2008年7月12日(土)「しんぶん赤旗」
限界集落 いま必要な対策は?
〈問い〉 限界集落とはどんな集落をさす言葉ですか? いま必要な対策を日本共産党はどう考えていますか?(千葉・一読者)
〈答え〉 限界集落とは、住民の減少と高齢化がすすみ、65歳以上が半数以上になり、冠婚葬祭など社会的共同生活の維持が困難になっている集落のことです。
国土交通省の2006年の調査によると、山間地域を中心に全国6万2271集落のうち、7878が該当し、なかでも2641集落は消滅のおそれがあるといわれています。
最大の要因は、長年の大企業本位の経済政策によって、山間地域の基幹的産業である農林業や地場産業がきりすてられ、公共交通や学校などの生活基盤も破壊されるなど、定住条件が壊されてしまったことです。
これらの集落がある山間地域は自然環境や国土保全、水源涵養(かんよう)など多面的な機能をもっており、国土、環境の維持の面でも放置できない問題になっています。
政府も過疎対策として、補助金の特例措置などによる道路整備、農政における条件不利地域対策などをとっていますが、農林業の活性化や雇用の創出にむすびついておらず、社会生活上の問題も多く、集落の消滅をとめることができていません。
近年の広域合併が周辺地域の声を届きにくくしていることも重大です。最近、限界集落という言葉は「マイナスイメージが強い」として、名称の見直しを求める動きもでています。京都府綾部市では、市内の限界集落を「水源の里」と命名し、「水源の里条例」を制定しました。条例では、特産物の開発や新規就農者の支援、地域産業の育成、空き家の活用を含めた住宅の整備をすすめ、定住促進をはかることにしています。このようなとりくみを全国に広げるために、昨年11月に「全国水源の里連絡協議会」が設立されています。こうしたとりくみが広がるようにしていくことも大切です。
限界集落の再生のためには、新たな人が定住できるようにすることが必要です。定住条件づくりは、住民の知恵とエネルギーを結集し、農林業や地場産業の計画的振興、公共交通機関の確保など生活基盤の整備、生活環境の改善など定住対策の推進などにたいし、全国一律の措置でなく、地域の実態にあった対策が不可欠になっています。そのために、市町村が地域づくりに積極的な役割を果たせるよう、国が真剣にとりくまなければなりません。(野)
〔2008・7・12(土)〕