2008年7月11日(金)「しんぶん赤旗」
盗聴法さらに改悪
通信会社の免責認める
米上院
【ワシントン=鎌塚由美】米議会上院は九日、通信傍受に協力した米通信会社がプライバシー侵害で訴えられないよう免責を与える「対外情報監視法」(FISA)改定案を可決しました。ブッシュ大統領は同日、直ちに署名する意向を表明しました。
米議会は昨年八月、FISA法で規定されていた「対外情報監視裁判所」からの許可なしの盗聴を時限的に合法化し、ブッシュ政権が「対テロ」の名の下に行う「令状なしの盗聴」を追認していました。改定案では、さらに通信会社への過去にさかのぼる免責を認めており、現在三十にのぼるといわれる係争中の訴訟が無効になります。
改定案は、賛成六十九、反対二十八で可決。民主党の大統領候補となることが確実なオバマ上院議員は当初、通信会社の免責に反対していましたが、最終的に改定案に賛成。共和党のマケイン上院議員は、欠席でした。
ブッシュ政権による国民盗聴を追及してきた全米市民的自由連合(ACLU)は同日、上院の改定案可決は「米国民へのスパイ活動を拡大する」ものだと抗議の声明を発表し、ブッシュ大統領の署名後に、違憲裁判を起こす方針を明らかにしました。