2008年7月11日(金)「しんぶん赤旗」
主張
原水爆禁止08世界大会
核廃絶運動の頑張りどきだ
被爆六十三年の広島・長崎で開催される原水爆禁止二〇〇八年世界大会が間近に迫りました。二〇一〇年の核不拡散条約(NPT)再検討会議に向けての国際共同行動などが議論される予定です。
広がる「廃絶こそ」の声
原水爆禁止世界大会は国際的な核兵器廃絶の世論・運動をリードし、近年は政府レベルとの共同も広げてきました。さらに今回初めて現職の国連幹部、軍縮問題担当上級代表のセルジオ・ドゥアルテ氏が参加するのをはじめ、海外代表は二十六カ国八十人余にのぼります。
核兵器廃絶の「明確な約束」を合意した二〇〇〇年のNPT再検討会議、その実行が米ブッシュ政権によって乱暴に拒否された〇五年会議をへて、一〇年の会議にむけ「今度こそ」との決意が政府、NGOを問わず広がり、世界大会への期待も高まっています。
この間、イラク戦争の悲惨な実態を通じて、「テロ・核拡散の脅威」を口実にした先制攻撃と核兵器使用を軸とするブッシュ戦略の欺まん、危険が明りょうになりました。「核不拡散」を重視する立場からも核兵器廃絶以外にないという声が強まっています。
昨年、「核兵器のない世界を」との提言で、まずアメリカが本格的なとりくみをすべきだと指摘したキッシンジャー元米国務長官ら四氏は、ことし一月の再度のよびかけで次のように強調しました。核兵器のない世界という「最終目標を明確に述べることで、進展を促進しなければならない」「ゼロへと進むビジョンなくして、悪循環を阻止するのに不可欠な協力を作り上げることはできないだろう」と。
ノルウェー政府は四氏の提言に呼応し、二月に核軍縮国際会議を開催しました。同国外相は「すべての国の指導者は、核兵器のない世界の実現を自分自身の事業として取り組むと同時に、自国の優先課題に位置づけるべきである」と呼びかけました。このほかドイツ、イギリス、スペインなどのNATO加盟国首脳からも、核兵器廃絶、核軍縮を求める積極的な発言が聞かれます。
世界大会が一貫してかかげてきた核兵器廃絶が、いかに道理があり、平和と安全を願うなら否定しがたい課題であることをしめす動きです。
このようなもとで被爆国日本の行動が問われます。洞爺湖サミットの首脳宣言は核兵器廃絶の決意どころか、これまでの核兵器削減を歓迎するだけで、キッシンジャー氏らのいう「大胆なイニシアチブ」とはほど遠いものです。
しかも日本政府は「拡散の懸念」や「日本の安全」を口実にあくまでもアメリカの核抑止力に依存し、先制攻撃戦略の基地として強化する道を突き進んでいます。
被爆国の運動の役割を
それだけに反核平和をねがう日本国民が、国際的な運動の前進とともに、政府に被爆国にふさわしい行動を求め、危険な動きを許さないたたかいをいっそう強めることが求められます。
世界大会は、非核日本宣言や核兵器廃絶の署名、憲法九条守れ、原子力空母配備や基地再編強化反対、原爆症認定問題の解決などの諸運動を大きく結集し、さらに発展させる契機となるでしょう。全国の地域・職場・学園からの多くの代表の派遣が期待されます。
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