2008年7月8日(火)「しんぶん赤旗」

主張

副総裁の犯罪

談合根絶のため天下り禁止を


 旧道路公団副総裁の関与が問題になった官製談合事件の判決が先週、東京高裁であり、元副総裁に懲役二年六月、執行猶予四年の有罪が言い渡されました。

 判決は公団幹部が長年にわたって天下りを繰り返し、談合に関与してきたことをきびしく指弾しています。談合根絶のために、天下りの禁止は不可欠です。

天下り主導談合の典型

 事件は旧道路公団発注の鋼鉄製橋梁(きょうりょう)工事をめぐり、発注側の道路公団幹部と、受注側のメーカーが独占禁止法違反などに問われたものです。発注側では道路公団トップクラスの副総裁が逮捕され、受注側は横河ブリッジ、三菱重工業など五十社近くが関与しました。

 談合企業は「K会」「A会」といった談合組織をつくり、発注される橋梁工事のほとんどを談合で分け合っていました。あとを絶たない官製談合事件の中でも、橋梁談合は大規模で、最も悪質なものと批判されてきました。

 その手口は、道路公団幹部の天下りを通じた、典型的な「天下り主導談合」です。メーカーに天下りした道路公団元幹部らが工事の配分をきめ、現役幹部が退職後の天下り先を確保するために、談合に協力する仕組みです。判決は、公団理事らが「受注調整を円滑にすることが職員の天下り確保につながると認識」して、談合に加担したと指摘しました。

 官製談合事件は、中央省庁でも地方の出先や各地方自治体でも繰り返されています。その温床となっているのが橋梁談合同様、高級官僚などの天下りです。官製談合など癒着を根絶するには、天下りの規制が欠かせません。高級官僚の天下りは禁止すべきです。

 官製談合事件は、国民の税金を食い物にするものです。今回の事件では、道路公団が発注した鋼鉄製橋梁の九割以上が、談合組織に参加する企業に発注されていました。企業に安定した利益を確保するため、談合による発注で国民の税金がムダ遣いされたことは明らかです。

 裁判では、橋梁談合とは別の第二東名の工事でも、必要のない分割発注を行い公団に五千万円近い損害を与えたことが明らかになりました。国民の税金や利用者の通行料を食い物にした責任は、きびしく追及されるべきです。

 現行の官製談合防止法では、官製談合で損害をこうむった官庁は、かかわった職員に損害分を請求できる建前になっていますが、実際に請求した例は一つもありません。こうした規定の厳正な適用はあいまいにすべきではありません。同時に重要なのは談合の根を絶つことであり、天下りなど癒着の土壌にメスを入れてこそ、不正を一掃できます。

政財官の癒着にメスを

 見過ごせないのは、官製談合事件はその多くが政治家や地方の首長など政財官の癒着の中で起きていることです。地方の官製談合事件では、知事やその近親者が直接談合の調整役となっていることも少なくありません。今回の橋梁談合でも談合企業から自民党が献金を受け取り、国交省次官経験者の参院議員がパーティー券購入の便宜を受けていました。

 不正の一掃には癒着に全面的にメスを入れることです。官僚や企業に責任を押し付け政治家は逃げ得するなどというのは許されません。


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