2008年7月6日(日)「しんぶん赤旗」

主張

消費税

財界が大歓迎する増税とは


 自民党と公明党の税制調査会が相次いで総会を開き、二〇〇九年度の税制改定に向けた議論を開始しました。例年は秋に始める議論を四カ月も前倒しした最大の理由は、消費税です。

 福田康夫首相が六月十七日、消費税増税をめぐって「決断しなければいけない。とても大事な時期だ」と発言したことをきっかけに、一気に議論が過熱しています。

 六月末に閣議決定した「骨太方針」は、「消費税を含む税体系の抜本的改革」を「早期に実現を図る」と明記しました。

一円も負担しない税金

 自民党税調の総会で津島雄二会長は、「国民の理解を得て税制抜本改革に道筋をつけたい」と強調しています。

 消費税をめぐって、ことしの夏がいっそう「熱い」夏になることは間違いありません。

 福田首相の「決断のとき」発言を大歓迎したのは財界です。日本経団連の御手洗冨士夫会長(キヤノン会長)が次のようにのべています。「最近の政府・与党の政策責任者の発言を聞いても、今年こそ税制抜本改革が前進するのではないかと期待している」(六月十九日の講演)。

 福田首相の発言を聞いて、「今年こそ」消費税の増税をと期待しているというのです。

 本来、財界というのは、景気をよくするために「減税」を望むのが普通です。消費税に限って、熱心に増税を求めるのは、消費税が財界・大企業に極めて有利な税制だからです。

 消費税は取引の各段階で価格に転嫁し、最終的には消費者が負担する建前です。このとき、市場で支配力の強い大企業は、消費税分のすべてを価格に転嫁することが可能です。大企業にとって消費税は、実際には一円も負担しないで済ませることができる税金にほかなりません。

 自民党の閣僚経験者も認めています。丹羽雄哉・元厚相は、二月の衆院予算委員会で、基礎年金を消費税でまかなうことについて次のように批判しました。

 「企業が負担している保険料が事実上、今度は家計に回るわけで、要するに家計に付け替わるということになる」

 財界の要求はとどまるところを知りません。日本経団連は六月に開いた民主党との「政策を語る会」で、露骨に「法人税の引き下げ」(張富士夫副会長・トヨタ自動車会長)を要求しました。大企業が一円も負担しなくて済む消費税を増税し、それを財源にして法人税を減税せよという、まさに欲の皮が突っ張った要求です。

大企業減税の是正を

 消費税は生まれたときから大企業・大資産家減税と一体の税制です。一九八九年の消費税の導入前と比べて法人税率は42%から30%に引き下げ、所得税の最高税率は33%も引き下げられました。消費税導入・増税の口実となってきた社会保障は改悪に次ぐ改悪です。

 低所得者ほど負担が重い消費税が増え大企業・大資産家は大幅減税、社会保障は連続改悪―。所得の再分配どころか、貧困の拡大に拍車をかけています。

 税制改革で必要なのは、大企業・大資産家へのゆきすぎた減税を是正して所得再分配の仕組みを立て直し、それを通じて社会保障の財源を確保することです。



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