2008年7月5日(土)「しんぶん赤旗」
中国−台湾直行便
週末運航始まる
観光も解禁 分断以来初
【北京=山田俊英】中国と台湾を直接結ぶ初の週末チャーター便が四日、運航を開始しました。中国人の台湾観光も解禁されました。四日は大陸各地から約七百六十人が台湾入りすることになっています。恒常的な航空便の運航は一九四九年の中台分断以来初めてです。
この日は中国側の北京、上海など五空港、台湾側の台北、高雄など八空港で計十八の往復便が就航しました。第一便の広州発南方航空機が観光ツアーの団体客ら二百五十八人を乗せて同日午前、台北桃園空港に到着しました。
北京空港では出発式が開かれ、国務院台湾事務弁公室の王毅主任が「きょうは両岸(中台)関係の歴史にとって記念すべき日だ」とあいさつしました。
来週末以降、台湾側で就航が予定されているのは台北など乗客の多い三空港に限られ、採算を考慮して初日より減らされる見通しです。
中国人の観光は一日三千人、滞在十日間までの制限がありますが、台湾側は今後拡大する意向です。
解説
交流拡大にはずみ
中国と台湾との週末直行便の運航と大陸からの旅行解禁によって、双方の交流拡大が期待されています。
中台直行便は二〇〇五年の春節(旧正月)から中華民族の伝統的な祝日に運航されていました。はずみをつけたのは今年五月の台湾総統選挙で大陸との交流強化を掲げる国民党・馬英九政権が誕生したことです。台湾独立を指向していた前政権の方針を大きく転換させました。中国側もこれを好機ととらえて対話が加速しました。
五月末には台湾の与党党首、呉伯雄・国民党主席が北京を訪れ、中国共産党の胡錦濤総書記(国家主席)と中台分断以来初めて政権党同士のトップ会談を行いました。
六月には台湾の対中窓口、海峡交流基金会の江丙坤理事長と中国側窓口、海峡両岸関係協会の陳雲林会長が十年ぶりに実務者トップ同士で会談し、合意文書に調印しました。これによって金曜から月曜日の週四日、計三十六便の運航開始と中国人の台湾観光解禁が決まりました。
これまで中国一般市民の台湾旅行には台湾側の招待を受けて関係機関で手続きする必要があり、ビジネスや学術交流など特定の目的を持たない観光旅行は困難でした。
中国人観光客の増加をねらって中国の観光開発業者が台湾で事業拡大を図るなど経済効果が期待されています。
政治的な関係を持つことについては中台双方とも慎重な構えを崩していません。目下、経済や人の交流を優先させています。(北京=山田俊英)