2008年7月4日(金)「しんぶん赤旗」

主張

洞爺湖サミット

人類的課題に応えられるか


 北海道・洞爺湖で開かれる主要国首脳会議(G8サミット)が三日後に迫りました。

 地球温暖化を招く温室効果ガスの排出削減をはじめ、食料や原油の異常な高騰、貧困を削減する国連ミレニアム開発目標の達成など、洞爺湖サミットが取り上げようとする主要問題は世界の人々の生活を左右し、解決が急がれるものです。地球規模のこれら諸問題でサミット参加八カ国は大きな責任を負っており、洞爺湖サミットではその責任を果たすべきです。

特別な責任がある

 参加八カ国は世界人口のわずか13%を代表するにすぎません。しかし、温暖化の原因となる二酸化炭素の排出量でみると、八カ国の排出量合計は世界全体の43%にのぼります。食料・エネルギーの投機問題で主要な元凶であるファンドを運用しているのも多くがこれらの国々の金融機関です。温室ガス排出量の多い大企業や投機マネーの世界的な活動に規制をかけることが必要です。

 温暖化問題では先進国は歴史的責任を負っています。サミット八カ国、とくに規制に後ろ向きの姿勢をとる米国と日本の政治決断が厳しく問われています。

 一方では、これらの問題による被害がG8サミットに参加していないアジアやアフリカなどの貧しい国々に集中的にあらわれている現実があります。

 問題解決には国際社会の広範な協力が不可欠です。グローバルな協力を促進するためにも、サミット参加国は狭い「国益」を超えて、その責任に見合う大胆な打開策を打ち出さなければなりません。

 温暖化問題の対策は国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP)で決められます。京都議定書第一約束期間に続く新たな協定を二〇〇九年末のCOP15までに決められるかどうかは、洞爺湖サミットが引き出す結論に大きくかかっています。

 「グローバルな課題にはグローバルな回答が必要だ。だからこそ政治意思の喚起に努めている。資源も技術もあるのに、指導者レベルの政治意思が足りない」―洞爺湖サミットへのメッセージとして国連の潘基文(パンギムン)事務総長は京都大での講演でこう強調しました。

 サミットが世界に何を発信できるかで、議長国・日本の責任は大きいものがあります。福田康夫首相は温室効果ガス排出の削減に抵抗する産業界の意向を受けて、日本の中期目標を示せないままにきました。こうした姿勢では議長国に迫られるリーダーシップを示せないことはいうまでもありません。潘事務総長がとくに日本のリーダーシップを求めたのも当然です。福田首相は抜本的な政策転換を決断すべきです。

迫られる政治決断

 今回のサミットは北朝鮮やイランなどの「不拡散」問題も取り上げる予定です。核兵器拡散の根底には一部の国だけが核兵器を独占する世界の構造があります。サミットに顔をそろえる核兵器保有国は二〇〇〇年の核不拡散条約(NPT)再検討会議で自らが加わった核兵器廃絶の「明確な約束」を履行する義務を負っています。

 この問題でも大胆な政治決断が求められています。唯一の被爆国日本で開かれる洞爺湖サミットで、日本政府は核兵器廃絶を参加国に働きかけるべきです。


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