2008年7月2日(水)「しんぶん赤旗」
核兵器のない世界訴え
英国の元外相・国防相4氏
“保有国、削減義務果たせ”
【ロンドン=岡崎衆史】核保有国である英国の外相・国防相経験者四氏は六月三十日、英タイムズ紙への寄稿で、「核兵器のない世界」に向けて、すべての核保有国みずからが核兵器の大幅削減に「義務を果たす」よう求めました。
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寄稿は、テロ組織が核兵器取得を目指し、ならず者国家が支援しかねない今日、「核兵器が出回れば出回るほど、間違った相手の手に渡るリスクが大きくなる」と指摘。「保有核兵器の大幅な削減」のための「新しい歴史的イニシアチブ」を多国間機構を通じて進めるよう訴えました。
特に、「核兵器の脅威を減らす上で真の前進のためには、全核保有国が義務を果たす必要がある」とし、核保有国の責任を強調しました。
四氏はまた、米ウォール・ストリート・ジャーナル紙で、キッシンジャー元米国務長官ら米政府元高官が「核兵器のない世界」を求めたことに触れ、「同様の論議が英国と欧州全体で必要だ」と指摘。特に、欧州核保有国の英仏両国の核削減での役割に期待しました。
米国とロシアによる大量の核保有についても「理解困難」とし、核兵器大幅削減で米ロ両国が先頭に立つべきだとの考えを示しました。
包括的核実験禁止条約(CTBT)発効に向けては、米国を含む未批准の九カ国に対して、英国が北大西洋条約機構(NATO)や欧州連合(EU)とともに、批准を働きかけるよう促しました。
寄稿した四氏は、ロバートソン元国防相(一九九七―九九年)・前NATO事務総長、ハード元外相(一九八九―九五年)、リフキンド元外相(九五―九七年)・元国防相(九二―九五年)、オーウェン元外相(七七―七九年)です。
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