2008年6月30日(月)「しんぶん赤旗」

日本に軍拡要求

戦費穴埋め 露骨に干渉

米下院外交委員会


 イラク、アフガニスタンの追加戦費確保に躍起になる米政府は、自国の負担軽減を図るため、在日米軍の駐留経費負担を増やすことなど、日本に対して軍事費の増額をあからさまに要求しています。米軍「思いやり予算」特別協定が改定されたことを受け、早くも三年後の改定をにらんで増額を求める構えです。

 米下院外交委員会アジア太平洋地球環境小委員会は十二日、日米関係についての公聴会を開催。証言したアルビズ副国務次官補(アジア太平洋担当)は「日本政府が(削減した)防衛費の一部を復活させ、また増額することを強く望む」とのべ、日本が軍事費を増額すべきだとの認識を示しました。

 アルビズ氏は「思いやり予算」の日米特別協定について三年後の改定を見通し、「駐留経費だけでなく、日本の防衛予算全体についても包括的な見直しをするよう、近く日本政府と真剣な議論に入るつもりだ」と述べました。

 日本の軍事費についてアルビズ氏は「国民総生産(GNP)の約1%で推移してきたが、最近はそれも下降しており、軍備の近代化を損なっている」と“不満”を表明。「日本は世界第二位の経済大国であり、国防に割り当てられる支出は相当規模になる」と増額要求を正当化しました。

 米政府はこの間、各国の軍事費を対GNP比で比較。総額で世界一と指摘される米国の軍事費を相対的に小さく見せる一方、同盟国に対し、軍事費増額を迫る口実にしてきました。

 アルビズ氏はまた、自衛隊によるインド洋での米艦船などへの給油支援が野党の反対で一時中断したことに言及。「(衆参両院の)ねじれ現象がどれだけ、われわれの政策に問題をもたらすかを示している」と懸念を表明しました。

 参議院で野党が過半数を占める日本の政治状況について、「福田内閣、自民党も主要野党の民主党も、すべて海図なき航海をしている」「日本は今後数年間、政治的に先行き不透明になりそうだ」と指摘。「これが日本政府の意思決定にも影響するのは確実だ」と述べました。

 米軍「おもいやり予算」特別協定も四月、史上初めて参議院で否決され、憲法の規定で衆議院の議決が優先して決まりました。アルビズ氏の指摘はそうしたことも念頭に、いっそうの対米協力を迫る立場から、日本の政治状況に懸念を示したものといえます。(小林俊哉)



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