2008年6月24日(火)「しんぶん赤旗」
原油投機に規制必要
産油・消費国会合が声明
【カイロ=松本眞志】原油価格高騰の対策を協議する産油国と消費国の緊急閣僚級会合が二十一と二十二の両日、サウジアラビアのジッダで開催され、原油市場での投機行為の規制強化が必要とする声明を採択しました。会合には産油国と消費国、国際エネルギー機関など三十六カ国と七つの国際機関、二十二の石油企業が参加しました。サウジがこうした会合を開催するのは初めてです。
声明は、異常に上昇した原油価格が世界経済、とりわけ最貧国の経済に深刻な影響を及ぼしている問題を指摘し、参加国すべてが価格高騰への懸念を共有していると宣言。対応策の一つとして、「金融市場の透明性と規制の改善」を呼びかけました。
このために、インデックス・ファンドの活動情報の整備や原油取引市場の監視などを進めるとしています。具体的な規制策は今後さらに協議されることになります。
また、サウジは消費国の増産要求に応じて、七月期に日産九百七十万バレル(一バレル=約百五十九リットル)、〇九年末までに千二百五十万バレルまで増産する見通しを示しました。
サウジのアブドラ国王は演説で、原油高で苦しむ貧困国を支援するため、五億ドルの低利融資を提供する方針を明らかにしました。
英紙フィナンシャル・タイムズは、原油価格の高騰が、人々の生活や人道上の問題を超えて発展途上国の安全保障を脅かしていると主張。背景として、高騰の要因をめぐる産油国と米国の見解の相違を指摘しています。
今回の会合でも、参加した米国のボドマン・エネルギー長官は、不十分な原油生産が価格の高騰の原因だと主張し、産油国に原油増産を要求しました。これに対し、石油輸出国機構(OPEC)のチャキブ・ケリル議長は、原油はすでに市場にじゅうぶん供給されていると反論。「投機とドル安が影響を与えている」と訴えています。
サウジのヌアイミ石油鉱物資源相も「需給バランスや原油生産高が価格高騰の要因ではない。供給拡大だけで価格動向を管理できるとは思わない」と述べ、消費国が、国際社会での政治的緊張、燃料税の問題に責任をもって対処すべきだと語りました。