2008年6月22日(日)「しんぶん赤旗」
米軍収容所で長期の拷問
NGO医師団が報告
【ワシントン=西村央】米マサチューセッツ州ケンブリッジに本部のある非政府組織「人権のための医師団」は十八日、テロ容疑者として米軍の収容所に送られた人たちを診察した結果として、長期にわたる拷問の跡がみられたとする報告書を発表しました。
この報告は元収容者十一人について、拘留中に受けた拷問の内容、その精神的、肉体的影響をまとめたものです。
パキスタンからアフガニスタンに職探しに出かけて国境で拘束された男性は、パキスタンで留め置かれた後、アフガニスタン・カンダハルの米軍収容所、キューバのグアンタナモ収容所に転送されました。その間、殴る、けるの暴行、裸にされたままの放置、睡眠妨害、冷たい水を浴びせられる、大音響のもとに置かれるなどの拷問が続きました。
この男性は現在、両手首などに傷があり、心臓機能障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)がみられます。
報告はこのほか、反抗心を抑えるための薬剤投与、電気ショック、性的虐待など収容所で行なわれていた拷問を列挙。米議会に対し、拷問行為の禁止を法律に盛り込むこと、違反に対しての罰則を定めることを要求しています。
二〇〇四年にイラク・アブグレイブ収容所で米兵によるイラク人虐待が発覚した際、軍の命令で調査にあたったアントニオ・タグバ退役陸軍少将が報告書に序文を寄せ、「政府の調査やメディアの記事、人権団体の報告などによる事実暴露を経て、現政権が戦争犯罪に関与したことはもはや疑いがない」と指摘。違法で異常な措置が米国憲法の精神や建国の理念を傷つけていると警告しています。