2008年6月22日(日)「しんぶん赤旗」

「後期医療」保険料

政府・与党の「見直し」策

軽減対象3割以下


 政府・与党が、後期高齢者医療制度の保険料を一部軽減する「見直し」策をまとめ(十二日)、「最大九割軽減」などと宣伝しています。その中身をみてみると―。


 後期高齢者医療制度の保険料は、無年金の人も含めて全員が支払う「均等割」と、所得に応じて支払う「所得割」からなっています。均等割には、すでに所得の低い世帯の負担額を二割―七割軽減する仕組みがあります。(図)

9割というが

 政府・与党の軽減策は、均等割の軽減割合を最大で九割に拡大するというものです。来年四月から実施されます。

 対象者は、すでに七割軽減を受けている世帯のうち、七十五歳以上の人全員が年金収入八十万円以下の場合に限定されました。七十五歳以上の夫婦二人世帯なら、夫も妻も年金が八十万円(基礎年金の満額程度)以下でなければ対象になりません。

 さらに、同居する子どもなど世帯主に一定の所得があり、七割軽減の対象になっていない世帯の場合は、たとえ年金収入が八十万円以下であっても、今回の九割軽減は受けられません。

 この結果、対象人数は二百七十万人程度にとどまります。

 所得割については、年金収入百五十三万―二百十万円程度の人を対象に、所得割額を50%程度軽減します(年金収入百五十三万円以下の人は、所得割はかからない)。対象者は約九十万人です。

 今回の軽減策の対象になるのは、合わせて約三百六十万人。七十五歳以上(千三百万人)の三割以下にすぎません。しかも年金収入が八十万―百五十三万円の人は、年金額が少ないにもかかわらず、今回の軽減の対象にはなりません。

今年は経過措置

 〇八年度は経過措置として、均等割が七割軽減の全世帯を対象に、軽減割合を八・五割に拡大します。八月まで保険料を年金から天引きされる人は、十月から半年間は保険料を徴収されないことになります。

 所得割は、年金収入百五十三万―二百十万円程度までの人を対象に、原則として一律半額に軽減します。

 今回、保険料の一部を下げたとはいえ、二年ごとの見直しで際限なく保険料を値上げしていく仕組みそのものは温存されました。そのため、将来の保険料がどんどん上がり続けることに変わりはありません。

8月も天引き

 国民の怒りが噴出している保険料の年金天引きについては、一部選択制となります。その内容は(1)国保の保険料を確実に納付していた人(2)連帯納付義務者(世帯主か配偶者)がいる、年金収入百八十万円未満の人―の場合、申請すれば口座振替で納めることができるというものです。

 実施時期はまだ決まっていません。次回(八月十五日)の年金天引きには間に合わないため、これまでと同様、保険料が強制的に引かれます。

 与党は「保険料『9割軽減』が実現」(公明新聞、十四日付)などと強調し、多くの人の保険料が下がるかのように印象づけています。しかし、負担が軽くなるのはほんの一部だというのが実態です。

図

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