2008年6月21日(土)「しんぶん赤旗」
国会議員定数削減 発言相次ぐ
狙いは増税 “切られる”のは民意
国会議員定数の大幅削減を求める発言や提言が自民党内で相次いでいます。「定数削減なくして増税はない」(中川秀直元幹事長、五日の講演)と“身を切る”姿勢をアピールして消費税増税を国民に押し付けるのが狙い。しかしその中身で考えられているのは国民の多様な声を国政に届きにくくする選挙制度の改悪であり、“身を切られる”のは民意です。
「国民に負担を求めていくには政治家自ら身を切ることを示す。その際に、衆院比例代表選挙をどうするかが一番大きな問題だ」。伊吹氏は五月二十八日の党青年局・青年部の会合でこう述べました。
現在衆院定数は、小選挙区三百、比例代表百八十。伊吹氏は「比例制は既に参院選挙にある」として、衆院の比例代表部分の廃止こそが定数削減の狙いであることを強調したのです。
小選挙区制は、どんなに得票率が低くても最大得票数の候補者一人だけが当選。三、四割の得票でも六割から七割もの議席を第一党に独占させる一方、少数意見を抹殺する「大政党本位」の選挙制度です。伊吹氏が主張するように比例代表を廃止して単純小選挙区制にすれば、多様な民意は反映されず、いっそう大政党優位となります。
伊吹氏は「地方議員の定数も削減してもらいたい」(十五日のNHK番組)と国会議員だけでなく、地方議会定数も削減すべきだと主張しています。
こうした国政と地方政治で民意を切り捨てる方向は、福田康夫首相が本部長を務める自民党国家戦略本部の「政治体制改革プロジェクトチーム」(座長・奥野信亮衆院議員)が五月末にまとめた報告案で明確に示されています。衆参両院選挙と地方議員選挙を単純小選挙区制にし、衆院定数は現行の四百八十から二百へ、参院は現行二百四十二から五十へ大幅削減。都道府県議は現定数二千七百八十三から約千五百、市町村議は四万一千十四から約一万五千へ減らすという内容です。
自民党内ではこの間、「構造改革」路線の継承を掲げる複数の若手・中堅議員グループが「無駄の徹底的排除」を掛け声に「国会議員定数の大胆な削減」を盛り込んだ提言をまとめ、政府・自民党執行部に申し入れています。